研究課題/領域番号 |
25288090
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
宇山 浩 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70203594)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | モノリス / 有機無機ハイブリッド / 相分離 / 多孔質体 / 鈴木-宮浦カップリング / 抗菌性 |
研究概要 |
今年度は金属イオン含有モノリスの作製と有機合成触媒への応用を中心に検討した。メタクリル酸グリシジルとメタクリル酸メチルの共重合体(メタクリル酸グリシジル含有量: 10mol%)を80vol%エタノール水溶液中で加熱・溶解させ、冷却して相分離を誘起することでモノリスを得た。次にこのモノリスをポリエチレンイミン(PEI)と反応させて、ネットワーク状の金属配位性官能基を有するPEIモノリスを作製し、Pd(OAc)2を含むトルエン溶液中へのモノリスの浸漬によりPd担持モノリスを得た。次にモノリス骨格の表面分析を行った。切断面のEDX 測定から骨格表面にPdが均一に分散して担持されているとわかった。Pd担持モノリスの触媒活性評価には鈴木-宮浦カップリング反応を用いた。空気雰囲気下、4’-ブロモアセトフェノン (1 mmol)、フェニルボロン酸 (1.5当量)、炭酸ナトリウム (3当量)、Pd-PEI (Pd: 0.01当量) を水中に加え、加熱下で反応したところ、目的とするビアリール化合物が高収率で得られた。さらにPd 量を5×10-5モル当量として、60℃、48 hで反応させたところ、ターンオーバー数は約17,000に達した。複数回の反応を行ったところ、平均収率 98%で少なくとも4回の繰り返し利用が可能であり、反応後もモノリスの微細孔は形状を維持していた。不均一系触媒の多くの場合、均一系での反応と比較して触媒活性が低下する、生成物へ金属が残留するといった問題点が指摘されている。そこでこの反応系でのPd溶出量をICP-AESで測定したところ、0.4 ppm以下とごく僅かであった。種々の基質を用いた反応では、芳香環上に電子供与基、求引基いずれの官能基を有する基質においても均一系と同様に高収率で生成物が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
キレートモノリス、及びそこに重金属や貴金属イオンを固定化したモノリスを作製し、鈴木-宮浦カップリングによりその触媒活性を検証した。また、PGAモノリスに銅イオンを固定化することで、モノリスに優れた抗菌活性を搭載した。このように計画通りに研究を遂行できた。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画に従って、有機無機ハイブリッドモノリスに関する研究をさらに深化させ、同時にアフィニティーカラム担体の開発に展開する。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度はモノリスの作製と触媒等への応用について小スケールで実施したため、消耗品費を中心に予定より少額で研究を遂行できたため。 フロー型への応用を含め、モノリスの大型化や評価項目の多様化に伴い、消耗品費を中心に増額して研究を実施する予定である。
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