研究課題/領域番号 |
25288090
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
宇山 浩 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70203594)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | モノリス / 有機無機ハイブリッド / 相分離 / 多孔質体 / アフィニティークロマトグラフィー / セルロース |
研究実績の概要 |
有機無機ハイブリッドモノリスのアフィニティークロマトグラフィーへの応用では、昨年度に開発したセルロースモノリスをマトリックスに用い、His-Tagタンパク質の分離・精製を中心に性能評価を実施した。前年度の成果を活かしつつ、セルロースに適したスペーサー構造等を詳細に検討し、高性能化につなげた。また、親水性のエチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)モノリスを担体に機能性有機無機ハイブリッドモノリスを開発した。銀ナノ粒子存在下にEVOHの相分離を進行させることにより、有機無機ハイブリッドEVOHモノリスを作製した。このモノリスは銀ナノ粒子の凝集を抑制したことで表面増強ラマン散乱(Surface Enhanced Raman Scattering、SERS)活性を示し、微量のメルカプト安息香酸を高感度で検知可能であることを明らかにした。SERSスペクトルは優れた再現性を示した。これらの結果は有機-無機ハイブリッドEVOHモノリスが環境汚染物質の検知等を目的としたセンサーへの応用可能であることを示唆している。さらにPdを担持した新規な有機-無機ハイブリッドEVOHモノリスを一段階で作製した。このPd担持EVOHモノリスを鈴木-宮浦カップリング(SMC)反応の触媒として作用し、SMC反応中にPdの漏出はほとんどなく、様々な基質に対してPd担持EVOHモノリスは優れた反応加速作用を示した。これらの結果から安価な原料から簡便に作製できるPd担持EVOHモノリスが高付加価値な固定化触媒としての高い潜在性を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
親水性ポリマーのモノリスをマトリックスに用い、His-Tagタンパク質をターゲットとするアフィニティークロマトグラフィーへの応用において成果を得た。また、有機無機ハイブリッドモノリスを環境用途のセンサーや有機反応の触媒に展開し、有機無機ハイブリッドモノリスの新材料としての高い潜在性を示した。このように計画通りに研究を遂行できた。
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今後の研究の推進方策 |
アフィニティークロマトグラフィーを中心として、開発した有機無機ハイブリッドモノリスの機能開発を継続するとともに、この研究で新たに示した材料設計の概念を拡張して、機能性新素材開発につなげる。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年11月までにモノリスカラムの作製、モノリスの修飾およびアフィニティーカラムとしての一次評価を行い平成28年3月までにフロープロセスでの検討および構造-機能相関の検討を行う予定であった。平成27年9月、アフィニティーカラムとしての一次評価実験においてモノリスカラムとタンパク質の相互作用を詳しく解析したところ、アフィニティーカラムに求められる選択的な吸着に関して予期しなかったばらつきが見られたため、予定より多くの試料について詳細な評価を実施する必要が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度に研究を継続するための消耗品費として、各種試薬、各種ディスポ器具等が必要であり、その金額を記した。また。研究成果の発表や成果の応用に関わる共同研究の打合せに旅費(国内)が数回必要であり、その金額(概算)を記入した。
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