研究課題
『前駆体法』とは熱や光などの外部刺激による構造変化を利用して、溶解度や不安定性の問題から合成が困難な化合物の合成や、化学構造の変化に伴う物理的性質の大きな変化を,材料の機能変化として利用することを目的とする。本研究はこのような『前駆体法』を駆使して①π系が大きく酸化されやすいアセン系化合物の合成;②溶解度が低いために合成が困難な複素環化合物の新規合成ルートの開拓;③前駆体に光や熱の外部刺激を与えることで発光や半導体特性などの物理特性を発現する潜在性機能材料の開発;に関する合成研究を包括的に行い、機能性材料の開発へと展開することを目的とした。最終年度である今年度は、p及びn型の有機半導体材料の光変換前駆体・熱変換前駆体の開発、ナノリボンボトムアップ合成のためのユニット開発、ヘテロ原子を含むπ共役拡張分子の開発、ベンゾポルフィリン類縁体の合成を行った。とくに、n型有機半導体はp型に比べて格段に種類が少ないがフラーレン誘導体の光変換前駆体を合成し、その反応性・溶解度などを詳細に検討した。p型材料においては、光変換前駆体法と蒸着法で、同様の電荷移動度と薄膜構造を有する半導体薄膜が得られることを確認した。一方熱変換前駆体法を利用して、ドナーーアクセプター構造により長波長に吸収を有する含窒素化合物の合成を試みたところ、想定外のカップリング反応による二量体を得ることに成功した。またベンゾトリフィリン(2.1.1)は、酸素の2電子還元触媒として働くことがわかった。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (18件) (うち国際共著 6件、 査読あり 18件、 謝辞記載あり 11件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 9件、 招待講演 6件) 産業財産権 (1件)
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