研究実績の概要 |
本研究では、顕微加熱冷却ステージによる温度変化(-190~350℃)とハンドポンプやダイヤモンド・アンビル・セル(DAC)による高圧・超高圧印加(1気圧~4000気圧および1気圧~80,000気圧)により、含芳香族ポリイミド分子鎖の繰り返し単位と分子鎖間距離に生ずる構造・凝集状態変化を広角X線回折で観測し、それを同条件で観測した光吸収、蛍光発光、FT-IRスペクトル、遠赤外・テラヘルツスペクトルや熱伝導特性と比較・対照して考察することで、耐熱性を維持しながら高い光・電子・熱機能性を有する光・電子材料の新しい分子設計指針の獲得を目指して研究を行ってきた。 H27年度は、計画の最終年度であるため,測定の対象を特異な秩序/凝集構造を有する半芳香族PIに拡張し、各種のPI薄膜を系統的に調製して、超高圧・温度可変による構造歪みの圧力依存性と分光特性(光透過性と蛍光発光特性、遠赤外スペクトルなど)および熱物性(膜厚方向の熱伝導特性)の変化を比較・検討した.また,これまでの検討で得られたPIの秩序/凝集構造と光学特性・熱伝導特性の相関に関する知見を基盤として、常温・常圧で使用可能な新規の耐熱性光・電子材料の分子設計・開発を目指した検討を行った.さらに宇宙区間を模した極低温(液体窒素温度)や真空中での高感度蛍光測定系を構築して,新規の燐光発光ポリイミドの開発にも成功した. 上記に加えて3年間の検討から得られた知見を総括するとともに、国内外での学会発表、特許出願、論文投稿を進め、研究成果のPriority確保と学会・産業界への情報発信を行い、次世代の耐熱性光・電子・熱制御材料の用途展開を進めることに注力した.
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