タンパク質の構造形成機構解明のためのモデル系として、温度応答性高分子の相転移挙動に対する水和、特に疎水性水和の効果について総合的に解析した。アルキル基を部分的に重水素置換した温度応答性高分子を用いてν(C-D)バンドが相転移温度で低波数シフトすることを示し、量子化学計算によりエステル基への水素結合とC-H…O 水素結合がこのシフトに寄与することを明らかにした。また、温度-圧力相図の解析により熱力学パラメータを算出し、共重合組成や溶媒組成の効果を明らかにした。さらに、回折限界を超える空間分解能を有する探針増強ラマン分光システムを試作して、微小領域での高分子鎖の水和の解析のための足掛かりを築いた。
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