研究実績の概要 |
自動車用燃料電池の電解質としては、ガスバリア性が高く、機械的強度があり、しかも柔軟性に富む薄膜でなければならない。In3+ドープSnP2O7 で確立した無機・有機ハイブリッド化技術を活用して、上で開発した水酸化物イオン導電体粒子を高分子ブロック共重合体樹脂とコンポジット化した。有機樹脂の候補としては、ポリスチレン-ポリ(エチレン-ブチレン)-ポリスチレントリブロックやポリスチレン-ポリ(エチレン-プロピレン)-ポリスチレントリブロック共重合体共重合体を適用した。テトラヒドロフラン(THF)などの有機溶媒に有機樹脂を溶解させ、そこに水酸化物イオン導電体粒子を加えて、遊星型ボールミルによって複合化した。その後、高分散スラリーをガラス基板上にキャストし乾燥することで、厚さ数十マイクロメートルの薄膜を製造できた。 白金代替電極として、アノードではNi, Pd, Au, Ru もしくはそれらの合金、またカソードではAg, MnO2, ペロブスカイト型酸化物,酸化グラフェンなどが知られている。本研究では、触媒としてできるだけ安価な金属、金属酸化物、酸化グラフェンに限定することが好ましく、またそれが中温作動のメリットでもあるので、アノードについてはNi を中心に材料設計した。電極触媒の調製は、蒸発乾固を基本とした含浸法で行い、最終的に金属触媒については水素還元、また金属酸化物についてはカーボン担体が燃焼されない最高温度で空気酸化した。酸化グラフェンはアンモニア中で高温処理することで固体中に窒素ドーピングした。これらの電極触媒に水酸化物イオン伝導性を付与し、反応場(三相界面)を構築するため、そこに上で開発した化合物微粒子を高分散に混合させた。
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