研究課題/領域番号 |
25288108
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
犬丸 啓 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80270891)
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研究分担者 |
片桐 清文 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30432248)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ナノ構造 / メソポーラス材料 / 光触媒 / ナノ複合体 |
研究概要 |
本年度は、酸化タングステン(WO3)と二酸化チタン(TiO2)の複合ナノ構造の設計と光触媒作用に関する検討に注力した。昨年度までの検討で、WO3粒子の周囲にメソポーラスTiO2を析出させる試みを行ったが、明確なナノ構造を得るまでに至らなかった。そこで今年度は、WO3にあらかじめ合成されたTiO2ナノ粒子を付着させた構造の構築を行い、その光触媒特性を調べた。ナノ構造をより明確にするために、WO3としては数百nmの大きさの直方体の粒子形状をもつWO3を合成して用いた。TiO2ナノ粒子は、市販品の光触媒用チタニアゾル(粒径約 6 nm)を用いた。光触媒反応としては、気相アセトンの光触媒的分解活性を測定した。 ナノ構造の構築法として、交互積層法を試みた。これは、PDDA = poly(diallyldimethylammonium chloride)とPSS = poly(sodium 4-styrenesulfonate)をWO3表面に交互に積層したのち、TiO2ゾルと接触させ、静電的にTiO2粒子をWO3表面に付着させるという方法である。積層後、光触媒は500℃で空気中焼成し、Ptを光電着した。TEM測定の結果、角ばったWO3表面にTiO2粒子が付着していることが観測された。TiO2を複合化していないPt-WO3では、アセトンの減少速度が遅く、かつ、CO2生成量がアセトンの減少量から期待される量よりかなり少なく、アセトンがCO2まで完全に酸化され得ないことが分かった。一方、複合体では、アセトン分解速度が大幅に向上するとともに、CO2生成量もアセトン減少量と対応する量に近い値となった。交互積層法により生成したWO3とTiO2粒子が接触している構造が活性向上に重要であると推定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ナノ複合構造の構築とそれによる高活性光触媒の機能開発に成功している。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、ナノ複合構造の構築と機能開拓を行う。前年度に注力した光触媒系のほか、メソポーラスシリカ‐ナノ粒子複合構造の構築と機能化に関して展開研究を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
H25年度は活性の高いナノ構造の構築に注力し、光化学的な解析を行わなかったため、 それらを検討する予備的な設備導入を見送った。 今後、アクションスペクトルその他の測定が必要となった場合、その設備導入等に使用する可能性を検討する。
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