研究課題/領域番号 |
25288110
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
森口 勇 長崎大学, 工学研究科, 教授 (40210158)
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研究分担者 |
瓜田 幸幾 長崎大学, 工学研究科, 助教 (40567666)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 多孔カーボン / ナノ結晶 / ナノ複合体 / 電気二重層 / Liイオン二次電池 |
研究実績の概要 |
フェノール性オリゴマー部位とシロキサン部位を有する有機-無機ハイブリッドポリマーから合成したミクロ多孔カーボンやシリカコロイドを鋳型にした合成したメゾ・マクロ多孔カーボン,一般的なミクロ多孔カーボンであるACF系炭素について,Li-NMRやラマンスペクトル測定を行い,バルク溶液中と比べてミクロ細孔内ではLiイオンの溶媒和数が減少すること突き止めた。メゾ・マクロ多孔カーボンに比べて,有機-無機ハイブリッドポリマーから得たミクロ多孔カーボン内においては脱溶媒和したLiイオンが電気二重層を形成するため,その厚みの減少が比容量増大の一因であることを示した。 さらに,同有機-無機ハイブリッドポリマーを出発物質として合成するLi2MnSiO4(LMS)ナノ結晶・カーボンナノ複合体について,ポリマー組成や焼成温度等の条件を系統的に変化させ,LMS結晶サイズやカーボン含有量,比表面積を精密に制御することに成功した。得られるナノ複合体の充放電特性と各構造パラメータとの関連性を調べ,20wt%以上のカーボン含有量において発現容量がほぼ飽和し,その条件においてはLMS結晶サイズが小さくなるほど高容量が発現することがわかった。カーボン源としてカーボンナノチューブを複合化させるとより少ないカーボン含有量で高容量が発現することも突き止めた。 一方,シリカコロイドを鋳型にしたメゾ・マクロ多孔カーボンの合成において前駆体に利用するSiO2・カーボン複合体をMg還元し,Si・多孔カーボンナノ複合体へ変換することに成功した。SiO2・カーボン前駆体を予めにエッチングして空隙を導入することにより,SiO2の還元率が向上すること,そのようにして得た複合体は,充放電サイクル繰り返しに伴う容量維持率が向上すること,を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
EDLC特性については,電解質イオンの溶媒和数にまで踏み込んで分析をし,容量と関連づけることに世界で初めて成功した。Liイオン電池活物質についても,Mnシリケート系材料の飛躍的な性能発現に成功し,また新しくSi/多孔カーボン系の材料開発にも成功し,多くの成果を上げた。
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今後の研究の推進方策 |
ナノ構造が物性に与える影響についてさらに追及を行い,ナノ構造制御によりもたらされる機能の特異性を明らかにする。また,平成26年度に合成に成功したSi・多孔カーボンについても,ナノ複合構造と充放電特性の相関性を解明し,機能向上のための構造設計指針を提示する。
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次年度使用額が生じた理由 |
H26年度に新たな材料の可能性も見出したため,この材料開発のための物品費も合わせて平成27年度に必要となった。さらに,最終年度の研究加速のための人件費を確保した。
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次年度使用額の使用計画 |
材料合成や分析のための物品費,学会発表旅費ならびに人件費・謝金として消化する予定である。
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