研究課題/領域番号 |
25289002
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
河井 昌道 筑波大学, システム情報系, 教授 (90169673)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 炭素繊維複合材料 / 疲労 / 等寿命線図 / 非相似型等寿命線図 / 応力比 / 温度依存性 / 繊維配向角依存性 / 疲労寿命予測法 |
研究実績の概要 |
交付申請書の研究実施計画に従って研究を遂行し、以下の成果を得た。 [1]多方向積層板(平滑材)の室温における非主軸等寿命線図の同定:[2]多方向積層板(平滑材)の非主軸等寿命線図の温度依存性の同定: (1) 同じ応力比で異なる繊維配向に対して求めたS-N関係は、試験温度に拘わらず、疲労強度比を用いて整理することで、主軸疲労(繊維方向)と非主軸疲労(繊維方向から偏る方向)に分けることができ、それぞれについて疲労強度ベースのマスターS-N関係を同定することができる。(2) 同じ応力比で異なる温度に対して求めたS-N関係は、繊維配向角に拘わらず、疲労強度比を用いて整理することで温度依存性を近似的に取り除くことができる。(3) 非主軸疲労に対する等寿命線図は、臨界応力比と2つの補助応力比による疲労データを併用した4領域形の一般化された非相似形等寿命線図を用いることによって精度よく記述できる。(4) プライ積層様式に依存するin-situ強度とその変化を考慮した主軸・非相似形等寿命線図ベースの寿命予測法を開発し、観察した多方向CFRP積層板(平滑材)の主軸疲労寿命が精度よく予測できることを確認した。 [3]一方向積層板(切欠き材)の室温における非主軸等寿命線図の同定: (1) 切欠き材の非主軸引張試験の結果、相対切欠き寸法が増大するほど非主軸引張強度が低下する切欠き寸法依存性を明瞭に確認した。(2) 繊維配向角30°と45°に対して引張強度が切欠き不敏感となり、すべての繊維配向に有限の切欠き感度を予測する非主軸切欠き感度モデルでは観察された特徴を精度よく予測することができない。(3) 切欠き感度を示す繊維配向に対して、切欠き材のS-N関係を定式化した切欠き疲労モデルを用いて良好に予測することができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験的な研究は当初の計画にほぼ沿って進められている。多方向積層板の疲労モデル開発を目指す理論的な研究も予定通り進行しており、重要な影響因子の同定に成功している。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画に沿って研究を推進する。試験材料の成形をできる限り早めに行い、その遅延が実験計画に支障を来さないようにする。続く研究事項についても可能な範囲で先行予備試験を行い、試験条件の妥当性を確認しながら研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
1)経費節約に努めたため。 2)計画当初に懸念された試験機治具の装着要件が低下し、研究の滑らかな遂行を優先して、その加工装着を見送ったため。
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次年度使用額の使用計画 |
1)試験材料の多めの調達に使用し、試験数および予備試験の充実に資することとする。 2)研究目的の達成度を高めるための費用とする。
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