研究課題/領域番号 |
25289012
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
笹原 弘之 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00205882)
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研究分担者 |
中本 圭一 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90379339)
岩本 薫 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50408712)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 機械工作・生産工学 / 研削加工 / 研削油剤 / 砥石 / 研削温度 / 仕上げ面粗さ |
研究実績の概要 |
研削砥石の内部から研削液を研削点に直接的に供給することを可能とし,研削点の温度・雰囲気を最適制御する新しい加工方法を提案している.この方法によれば,①研削加工の高能率化,②加工変質層の最小化,③加工精度と加工面あらさの向上,④曲面の形状加工の自由度向上が見込まれる.高い加工能率と優れた加工面性状を得るための統合的な研削点の加工環境の最適化について検討した. 1) 研削液のみを供給する場合だけでなく,研削液と不活性ガスの気液混合体の供給手法について検討し,混合部分の設計製作を行い,加工実験を可能とした.研削液に脈動を加えることも可能とした. 2)研削点加工環境として特に加工温度を制御し,その効果を定量的に測定した.熱電対を工作物表面層に埋め込む方法と,薄物の工作物の裏側から赤外線放射温度計で温度分布を測定する方法との二つの方法を採用した.チタン合金,アルミニウム合金など研削が難しいとされる金属に本手法を適用し,加工面粗さが小さくなることがわかった. 3)チタン合金の研削加工においては,砥石内部から直接研削液を供給すると,主分力が低下することがわかった.砥石の損耗,特に用いた砥石では目こぼれが支配的であるが,本手法により損耗が低減する事が示された.主分力の低下が研削焼けの発生しやすさに関連し,引張残留応力の発生に対し支配的であると示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1) 研削液を砥石内部より圧送し強制的に供給する機構により,より効率的に研削液を研削点に供給することを可能とする手法は確立できた.脈動を付与することも可能となった. 2) 研削点での十分な冷却と酸化反応抑制を発揮するための,研削液と不活性ガスの気液混合体の供給手法について装置が稼働した. 3) 砥石内直接研削液供給用の砥石仕様の設計指針の確立に向けて,評価を進めた. 気液混合の実験量がやや予定よりも少ないが,その他についてはほぼ予定どおりであり,概ね順調に進展している
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今後の研究の推進方策 |
1) 研削点環境として不活性ガス・研削液の気液混合体の供給効果: 砥石周速が高い研削加工では工作物の切りくずが溶融し火花となるような状況にもなるが,そこで酸化による発熱や砥粒自体の劣化に大きく影響する.窒素ガスやアルゴンなどを研削液と混合することで,研削点での空気中の酸素を排除する.前年度と同様に,研削温度,研削力,加工面粗さ,加工変質層の測定により,ガス・研削液混合体の供給効果を明らかにする. 2) 砥石内直接研削液供給用の砥石仕様の設計と砥石製作: 研削性能と研削液の透過性を両立する砥石仕様について流体力学的な見地に基づき検討する. 3) 研削液供給における脈動の付与とその効果の検討: 研削液の流動抵抗低減と,切りくずの目づまり除去のために有効と考えられる脈動の付与について,圧力振幅,振動数などについて最適な値について検討を行う. 4) 超砥粒メタルボンドホイールへの適用を行う. 5) 穴加工・CFRP加工への適用を行い,提案手法の有効性について検証する.
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次年度使用額が生じた理由 |
一部の砥石の仕様決定が遅れ,発注できていない.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に砥石の仕様を決定し製作する.
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