研究課題/領域番号 |
25289020
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
武田 行生 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (20216914)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 機構設計 / ロボット工学 / 機構学 / 弾性ジョイント / パラレルマニピュレータ |
研究実績の概要 |
本研究では,広い作業領域を有し,スムーズ,低発塵,高精度かつ長時間の安定した動作が可能な,弾性回転ジョイントからなる5自由度の並進・回転運動分離形パラレルロボットを開発することを目的とし,本年度は,機構総合・設計・試作,弾性ジョイントの特性評価等を行った.まず,5自由度パラレル機構については,昨年度と同一の並進3自由度+回転2自由度の運動を出力運動とする,3つの連結連鎖からなる機構を対象として,機構パラメータの値と運動伝達性に優れた作業領域(実用作業領域)の体積の関係を明らかにするとともに,機構パラメータの実用作業領域の体積に及ぼす影響(感度)に基づく機構設計法を開発した.そして,具体的に機構パラメータの決定を行い,ロボットの設計と試作を行い,その並進運動時および回転運動時の精度を実験的に測定した.その結果,本研究で設計・試作したロボットは良好な運動特性を有することを明らかにすることができた.弾性ジョイントに関しては,昨年度試作した,弾性回転ジョイントの2つのフレーム間に任意の力を作用させつつジョイントに強制的な回転変位を与えてジョイントのフレーム間の変位および作用力を測定する試験装置の改良を行った上で,試作ジョイントの3次元的な剛性特性を実験的に測定するとともに,転がり軸受を用いたジョイントとの特性比較を行った.さらに,弾性ジョイントからなるパラレルロボットを内力が作用する弾性要素を含む閉ループ運動力学系としてモデル化し,その特性を把握するための理論解析手法を開発し,これを弾性ジョイントからなる空間閉ループ機構や他の運動システムの解析に応用し,これらの剛性特性,運動特性を明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年度当初予定していた研究項目は,①並進・回転運動分離形5自由度パラレル機構の設計,②弾性ジョイントの特性評価と比較,③弾性ジョイントからなるパラレルロボットの特性評価と設計,④弾性回転ジョイントからなるパラレルロボットの試作である.これらのうち,①は予定通り設計を完了しており,②については,試験装置の測定系(電気系)の不良によりしばらくの間,良好な測定データが得られなかったが,現時点では良好に測定ができている.③については,理論的には結果を得ることができる状態にあり,④の弾性ジョイントを組み込む前の通常の転がり軸受からなる回転ジョイントを用いたロボットの試作を終わらせ,試作パラレルロボットは良好な特性を有することが実証できている.
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度までの実績を踏まえ,平成27年度の研究では,①弾性ジョイントの特性改善,②弾性ジョイントを有するパラレルロボットの試作と駆動実験(試作ロボットの改善:弾性ジョイントの組込),③弾性ジョイントおよびこれからなるパラレルロボットの設計指針のまとめ,を行うとともに,研究成果の取りまとめを行う.特に本計画推進に支障はない.
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