現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では、平成25年度は, (a) 対数型美的曲線理論と, (b) 変分原理による曲面の定式化に関する予備研究を基礎として, (1) 曲率分布を大域的・局所的に変更可能とする目的関数の決定, (2) スケッチ入力によるキーライン生成, (3) 曲線の力学性能の解明について研究する、と計画された. (1)曲率分布を大域的・局所的に変更可能とする目的関数の決定に関しては、当初の計画より進展している、と考えられる。(2)スケッチ入力によるキーライン生成に関しては、リバースエンジニアリングに関する新たな方法を現在試しており、おおむね順調に進んでいると判断される。(3) 曲線の力学性能の解明については、カム理論に基き時間関数としての曲線の定式化(与えられた軌道のどのように動かすか?)をしているとともに、有限要素法の考え方を発展させたisogeometric analysisの自由曲線、曲面への適用について研究を進めており、おおむね順調に進展していると判断される。 さらに、計画の当初では予想できなかった多くの研究成果を得ており、その点でもおおむね順調に進展していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画に従い、変分原理に基づく曲面の定式化を用いて, 3Dレーザスキャナにより得られた計測データから曲面を生成する. 得られたデータを曲面が近似するように目的関数のパラメータを探索する. また, 曲面の境界条件(境界線やそこでの接平面)を設定するために, まず境界線を生成し, 次に曲面内部を内挿する2段階の手法について研究する. さらに,ハイライトラインを意図通りに通す変形手法について研究する. 曲面の力学性能として, 製品の機能を大きく左右する空力特性を代表例として取り上げ, その力学性能を解明する. 例えば, 車体回りの空気の流れをシミュレーションし, 車体にかかる空気抵抗を計算する. 本研究ではメッシュフリーである粒子法を用いてリアルタイムに形状抵抗を提示するシステムを開発する. 空気抵抗の予測において乱流が重要であり, 乱流の発生によって揚力などの性能が著しく損なわれる. このような乱流を粒子法において計算する手法をシステムに組み込み正確な抵抗値を算出する. 正確な予測のためには粒子数を多くする必要があるが, 粒子数の増大は計算時間の大幅な増加を招く. GPUを用いて粒子法を高速化しこの問題を解決する. 研究が早く進展した場合には,曲面の評価は画面上での評価だけでなく, 実際の物理モデルを目で観察し, かつ手で触って滑らかさを評価することが重要である. そこで, 本研究ではモックアップを製作しそれを評価する.また,画面上の評価や物理モデルの評価を基に, 曲面の定式化, 計測データからの曲面の生成およびスケッチ入力, の各アルゴリズムについて再検討を行う. 必要に応じて定式化を変更し, その変更を各応用アルゴリズムに反映させる. 各研究者間の連絡を密にとり, 理論的な成果を応用に反映させるとともに, 応用の結果に応じて理論をより洗練させる.
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