研究課題
人工関節から発生する超高分子量ポリエチレンの摩耗粉は人工関節周辺組織の炎症や骨融解を引き起こす。理由は摩耗粉をマクロファージが貪食し、炎症性サイトカインの産生を発現させるからである。本年度の実験結果によれば、ヒト由来単球マクロファージは10μm以上の粒子も複数貪食すること、マクロファージの生存率は摩耗粉の総面積(=個数×個々の表面積)が一定値を越えると急激に下がること、炎症性サイトカインの産生は特定の表面積にピークがあることが確定的となった。超高分子量ポリエチレンの摩耗粉特性、とくに個々の表面積(摩耗粉サイズ)は相手摺動面であるCo-Cr-Mo合金への表面テクスチャリングにより制御できることを実験的に証明した。そこでは表面粗さとして2から20ナノメートルレベルで調整し、1マイクロメートル以下の凹凸(うねり)を加えた表面構造が特に有効であることも証明できた。テクスチャリングの方法として、マイクロウエットブラスティングの応用法を活用することで、従来の人工関節表面の最終仕上げ工程として取り入れることが可能となった。股関節または膝関節に近い運動パターンをシミュレートできるPin-on-discの活用およびそのほかの条件はISO14242および14243に準拠する体制が確立できた他、摩耗粉とヒト由来単球マクロファージの培養実験方法も現状で最適な方法を確定した。これらは人工関節への実装を目指したロードマップを構築できたことを意味する。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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