研究課題/領域番号 |
25289031
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
酒井 康彦 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20162274)
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研究分担者 |
角田 博之 山梨大学, 医学工学総合研究部, 准教授 (10207433)
久保 貴 名城大学, 理工学部, 准教授 (20372534)
鈴木 博貴 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10626873)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 流体工学 / 乱流 / 物質混合 / 界面 / 化学反応 |
研究概要 |
当初の計画通り,平成25年度は以下の二つの研究目的に絞って研究を行った. 1.研究目的(A)について: 液相中での乱流/非乱流界面を含む高シュミット数物質拡散場のラグランジュ的統計量を明らかにするための速度・濃度同時計測システムの構築に着手した.まず2次元PIV・LIF同時計測システムを開発し,無反応蛍光物質を使用して,格子乱流や2次元噴流について,2次元平面内での速度2成分・濃度同時計測を試みた.一方,反応濃度場については,吸光スペクトル法による吸光ファイバプローブにより,2次元噴流について,2次の化学反応場(A+B→R:物質Aを物質Bを含む主流中に放出して反応場を作成する)における各物質濃度の瞬時同時測定を行い,条件付濃度場解析などを行った. 2.研究目的(B)について: (1)ラグランジュ的PDF法による拡散・反応場の数値計算: 粒子速度に関する確率微分方程式モデルとスカラー量に対する分子混合モデルについて調査した.2次元乱流噴流や格子乱流での単成分・多成分変動スカラー場と2次の化学反応場(R+B→S)の計算手法について文献調査をした. (2)ランダムフーリエモード法を利用した拡散・反応場の数値計算:ランダムフーリエモード法に急激変形理論および分子混合モデルを組み合わせることにより乱流/非乱流界面近傍流れや格子乱流中におかれた円柱まわりのプルームの変動濃度場・2次の化学反応場を計算する手法について調査した. (3)DNSやLESによるパッシブスカラー場や反応場の数値計算:まず,正方格子乱流や単一四角格子乱流およびフラクタル格子乱流の格子背後の速度場のDNSを行った.また,2次元乱流噴流に対して,DNS/LESとPDFのハイブリッド型PDF法により無反応拡散場や2次の化学反応場の計算を実施した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画通りに研究が進んでおり,「研究実績の概要」で示した1.および2.(1)~(3)の研究においてそれぞれ順調に成果が得られている.とくに,2.(3)のDNSやLESによるパッシブスカラー場や反応場の数値計算に関連して,内外の学術誌(査読付)に合計7編の論文が出版された.また,1.の液相中での化学反応場に関する実験的研究についても,内外の学術誌(査読付)に合計6編の論文が出版されている.さらに,これらの研究成果以外にも重要な実験的,数値的結果が得られており,現在,流体力学分野の一流国際誌であるPhysis of FluidsやJournal of Fluid Mechanicsなどに投稿準備中である.以上より研究はおおむね順調に進展していると判断される.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は以下の研究を行う. 1.研究目的(A)について: 前年度に引き続き,液相中での速度・濃度同時計測システムの開発を進める.まず前年度に開発した2次元PIV/LIF同時計測システムを用いて,無反応蛍光物質を使用して,格子乱流や2次元噴流について,2次元平面内での速度2成分・濃度同時計測を継続して行う.また,ステレオPIVシステムを導入し,ラグランジュ的速度場(3成分)・濃度場の同時計測の準備を行う.一方,反応濃度場については,前年度に引き続き,吸光スペクトル法による吸光ファイバプローブにより,2次元噴流について,2次の化学反応場(A+B→R:物質Aを物質Bを含む主流中に放出して反応場を作成する)における各物質濃度の瞬時同時測定を行い,条件付濃度場解析などを行う. 2.研究目的(B)について: (1)ラグランジュ的PDF法による拡散・反応場の数値計算:前年度の研究成果を踏まえ,粒子速度に関する確率微分方程式モデルとスカラー量に従来の分子混合モデルを組み合わせた数値計算コードを開発する. (2)ランダムフーリエモード法を利用した拡散・反応場の数値計算:前年度の研究成果を踏まえ,ランダムフーリエモード法に急激変形理論および分子混合モデルを組み合わせることにより乱流/非乱流界面近傍流れや格子乱流中におかれた円柱まわりのプルームの変動濃度場・2次の化学反応場を計算する手法を確立する. (3)DNSやLESによるパッシブスカラー場や反応場の数値計算:前年度の研究を発展させ,格子乱流中のパッシブスカラー場をDNSにより計算し,その中で流体粒子に沿ったラグランジュ的統計量の変化を調べ,分子混合モデルの検証を行う.また,新しい試みとして,多重スケール/フラクタル格子乱流中でのパッシブスカラー場の計算も試みる.さらに,2次元乱流噴流に対して,引き続きDNS/LESとPDFのハイブリッド型PDF法による拡散場の計算や2次の化学反応の計算も試みる.
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