• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実績報告書

双方向性の組み込みにより術者の感覚を最大限活用した腹腔鏡下手術用触覚センシング

研究課題

研究課題/領域番号 25289060
研究種目

基盤研究(B)

研究機関名古屋工業大学

研究代表者

田中 由浩  名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90432286)

研究分担者 藤原 道隆  名古屋大学, 医学部附属病院, 准教授 (70378222)
坂口 正道  名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60283727)
佐野 明人  名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80196295)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード手術支援機器 / 触覚センサ / 双方向性 / 腫瘍 / 触覚ディスプレイ / 音響 / 触知覚 / メカトロニクス
研究概要

人の触知覚において,運動と受容は双方向の関係になっており,この特性は人の優れた触覚センシングに関与している.本研究では,腹腔鏡下手術における術者の手(触覚)を直接術野に使用できない制約に対して,術者の双方向性を活用することで,腸管外側からの腫瘍検出(しこり)を行う触覚センシング機能付き鉗子を開発することを目的としている.具体的には,触覚センサを鉗子の先端に配置し,触覚ディスプレイを通じてそのセンサ情報を術者にフィードバックするシステムを構築する.本年度は主に,触覚センサ,触覚ディスプレイ,および双方向性についてそれぞれ研究開発を進めた.
触覚センサについては,サイズおよび電気的安全性を考慮し,反射音を用いたセンシング原理を考案し、これに基づく鉗子型触覚センサを開発した.直径は最大7mmで,実際の鉗子と類似しており,体内に挿入される部分には電気的要素がなく,かつ滅菌・洗浄が可能である.基礎実験や早期腫瘍付き胃壁モデルに対する実験により,その有効性を確認した.
触覚ディスプレイについては,ボイスコイルモータを用いたシンプルな構造の直動アクチュエータを製作し,しこりを検出しやすい触覚フィードバック方法について,触覚提示に使用するセンサ信号の時空間的情報変換を検討した.
双方向性については,粗さ弁別における触動作を調査した実験結果を解析し人の触知覚における戦略について考察した.また,他の部位への触覚フィードバックが触覚増強をもたらす現象について,受動触/能動触における発現強度について調べ,能動触と受動触の組み合せにおいて能動触側に増強が起こりやすいことを明らかにした.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画のように,センサシステムの開発に向けて,触覚センサ,触覚ディスプレイ,および双方向性について基礎的検討が行えており,順調に進展していると自己評価する.特に触覚センサについては,実環境を考慮したセンシング原理および構造を実現できた.平成26年度以降は,個々の要素技術と並行してシステム統合に進む予定であり,成果が期待できる.

今後の研究の推進方策

平成25年度に得られた結果を基にして,触覚センサと触覚ディスプレイを統合し,センサシステムのプロトタイプを製作する.これを用いたしこり検出実験を腫瘍モデルや腫瘍の切除標本について行う.また,動物実験を実施する.実験を通じてセンサシステムの課題を明らかにし,各要素技術を改良する.また,術者の鉗子操作とセンサ情報の比較,および術者の知覚感度に関する解析を行い,人の双方向性に関わる知見の獲得とシステムへの双方向性の活用について検討を進める.

次年度の研究費の使用計画

触覚ディスプレイについて,シンプルな1軸の直動アクチュエータを用いた触覚フィードバックの方法について検討を行い,その他の触刺激についての検討が行えておらず,触覚ディスプレイの試作機製作用の経費の一部が未使用であったため.
触覚ディスプレイの試作機の製作のために,機械部品および電子部品に使用する予定である.

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (6件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Contact force and scanning velocity during active roughness perception2014

    • 著者名/発表者名
      Yoshihiro Tanaka, Wouter M. Bergmann Tiest, Astrid M. L. Kappers, and Akihito Sano
    • 雑誌名

      PLOS ONE

      巻: 9(3) ページ: e93363

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0093363

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 触知覚メカニズムと指・皮膚構造2014

    • 著者名/発表者名
      田中由浩, 佐野明人
    • 雑誌名

      バイオメカニズム学会誌

      巻: 38(1) ページ: 47-52

  • [雑誌論文] Tactile sensing system including bidirectionality and enhancement of haptic perception by tactile feedback to distant part2013

    • 著者名/発表者名
      Yoshihiro Tanaka, Takanori Nagai, Masamichi Sakaguchi, Michitaka Fujiwara and Akihito Sano
    • 雑誌名

      Proceedings of the fifth joint EuroHaptics conference and IEEE Haptics Symposium (World Haptics 2013)

      巻: - ページ: 145-150

    • DOI

      10.1109/WHC.2013.6548399

    • 査読あり
  • [学会発表] 双方向性を組み込んだ腹腔鏡手術用触覚センシングシステムのための鉗子型触覚センサの開発2014

    • 著者名/発表者名
      福田智弘
    • 学会等名
      日本機械学会情報・知能・精密機器部門講演会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20140318-20140319
  • [学会発表] 反射音を用いた鉗子型触覚センサのしこり検出に向けた改良2013

    • 著者名/発表者名
      福田智弘
    • 学会等名
      第14回計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会(SI2013)
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      20131218-20131220
  • [学会発表] 左右の手で知覚される触感の相互作用に関する基礎検討2013

    • 著者名/発表者名
      橋本真佳
    • 学会等名
      第14回計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会(SI2013)
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      20131218-20131220
  • [学会発表] 反射音を用いた鉗子型触覚センサの検討2013

    • 著者名/発表者名
      福田智弘
    • 学会等名
      第30回日本ロボット学会学術講演会
    • 発表場所
      八王子
    • 年月日
      20130904-20130906
  • [学会発表] 双方向性を組み込んだ腹腔鏡下手術用触覚センサシステム2013

    • 著者名/発表者名
      田中由浩
    • 学会等名
      日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会2013(ROBOMEC2013)
    • 発表場所
      つくば
    • 年月日
      20130522-20130525
  • [学会発表] 鉗子型双方向触覚センサシステムに向けた触覚提示装置に関する検討

    • 著者名/発表者名
      松岡翔太
    • 学会等名
      日本機械学会東海学生会第45回学生員卒業研究発表講演会
    • 発表場所
      名古屋
  • [図書] 触覚認識メカニズムと応用技術―触覚センサ・触覚ディスプレイ―(増補版):触覚センサの産業・医療への応用2014

    • 著者名/発表者名
      田中由浩(下条誠, 前野 隆司, 篠田 裕之, 佐野 明人 編著)
    • 総ページ数
      3.2.11節(pp.328-347)
    • 出版者
      S&T出版

URL: 

公開日: 2015-05-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi