研究課題/領域番号 |
25289063
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
高木 健 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80452605)
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研究分担者 |
青山 忠義 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00569337)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ひずみ計測 / モアレ縞 |
研究概要 |
ひずみを可視化し目視で確認できるシート(以下,ひずみ可視化シート)を製作するための装置として,フィルムを精密にカットできるNCカッターの開発を行った.NCカッターの機械系の設計を行い,機械部品を製作しそれらを組み立てた.NCカッターの構造材としては,切削加工などを考慮したうえで可能な限り減衰能が高く制振性および耐食性に優れたフェライト系ステンレスを用いた.ボールねじには精度等級C3のボールねじを用い,脱調レスステッピングモータ(オリエンタルモータ αSTEP)を用いた.カッターには,フィルムの熱溶解を考慮し冷却用エアーの吹込みができ,振動パワーを調節できる超音波カッター(ナカニシ US-16CBT)を採用した.電装系の設計も行い,その組み立てと動作確認を行った.また,汎用的な3軸のNCフライス用のGコードを,開発した4軸のNCカッター用のGコードに変換するソフトウエアを開発した.また,実環境でひずみ可視化シートを適応するために,静的なひずみ計測を基本とし検証を行った.実構造物に適応する場合,コンクリートに接着する必要があるため,その接着方法を検討した.また,同時に誰でも簡単にひずみ可視化シートを接着できるようにユニット化した.計測精度はひずみゲージと比較した.除荷重時に30με程度誤差がでるものの,それ以外では10με程度の誤差で計測できることを確認した.また,恒温室を用いて温度・湿度による影響を検証した.ひずみ可視化シートの材料としては,ポリエステルを用いているが,当初,予想していた結果とは異なっていたため,今後材料を再検討する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ひずみ可視化シートの温度・湿度特性を検証した結果,材料を見直した方が良いことが分かった.当初の計画では,1年目はひずみ可視化シートを製造する装置を主に製作する予定であったが,この見直しに伴いひずみ可視化シートを製造する装置も異なってくるため,製造するための装置の開発は最小限とし,ひずみ可視化シートの検証を主に行った.ひずみ可視化シートの材料,接着方法,構造などを改良することにより,誤差10με程度でひずみを計測できるようになった.この数値は本研究課題が目標とする数値の一つをほぼ達成できたことになる.ゆえに,製造装置の開発は最小限としたが,ひずみ可視化シートそのものの開発は順調に行えているため,研究期間全体を見た場合はおおむね順調に進展しているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
実構造物に適応する場合,温度・湿度特性が良好である必要がある.そこで,新たな材料にて既に製作を行っているため,今後この材料を使用した場合の特性を検証する予定である.また,耐久性についての検証は十分に行われていないため,耐久性についても検証する予定である.製造装置については,NCカッターの機能を充実させる予定である.当初,ひずみ可視化シートはシートを折り曲げたり,塗料を塗布し製作する予定であったが,材料の変更や耐久性を考慮し,塗料を塗布する代わりに薄い樹脂を用いたり,折り曲げて組み立てるよりも接着し組み立てる方が良いことが分かってきたため,それに伴い塗布機や折り曲げ治具の開発は見送り,薄い樹脂の切削方法や接着方法を確実にするための装置を開発する予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
市販の実験装置が高額であったために,自作し経費を抑えたために予算が余り,次年度使用額が生じた. 実験装置を自作すると出費は抑えることができるものの,研究の進展速度は遅くなってしまう.そこで今年度は次年度使用額も用いて,可能な限り市販の実験装置を用いて研究の進展速度を速くしていく予定である.
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