研究課題
次世代の超伝導コイルシステムを革新する技術として期待されるREBCOコイルの技術課題(超伝導特性の劣化、遮蔽電流磁場による磁場精度の低下、熱暴走によるコイルの損傷)を解決するための技術を研究した。当該年度は特に遮蔽電流磁場による磁場精度の低下に関して実験的な検討を行った。昨年度、遮蔽電流磁場を低減するための方策として、超伝導層を多芯化したREBCO線材を使用することで、遮蔽電流磁場が低減できることを明らかにしたが、この種の線材の外層に銅安定化材を形成した場合、銅安定化材を介して芯間を流れる結合電流により、遮蔽電流磁場の低減効果が出るまでに時間を要することが分かった。この現象は、他のプロジェクト研究によって試験されたソレノイド方式コイルにおいて指摘されていたが、本研究では、パンケーキ巻方式コイルにおいて、この時間が非常に長くなることが明らかとなった。これは、巻線方式によって、結合電流のループの大きさが支配され、それによって減衰時定数が変わるためである。この結果より、実際の機器に用いるコイルにおいては、巻線方式とコイル形状を考慮することで、結合電流の時定数をコントロールできることが示唆された。この知見は、NMR装置やMRI装置、加速器といった精密磁場(時間的に安定で、空間的に均一な磁場)が必要とされる機器を設計するときに有効である。今後、この現象をより定量的に扱うための解析技術の構築を進めることが重要である。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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IEEE Transaction on Applied Superconductivity
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10.1109/TASC.2016.2515540