研究課題/領域番号 |
25289072
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
熊田 亜紀子 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20313009)
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研究分担者 |
松岡 成居 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10114646)
日高 邦彦 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90181099)
岩渕 大行 横浜国立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50757341)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | インバータサージ / 電界緩和 / 繰り返しインパルス / 回転機 |
研究実績の概要 |
電界解析の結果より、コイル端部分の電界緩和層における電界分布は、コイル長軸方向の抵抗分と、絶縁膜厚さ方向の容量分を調整することでコントロールしやすいという指針を得た。 そこで、電界緩和層の半導電層の巻き数(厚み)を変化させたコイルバーを試作し、正弦波交流、方形波(立ちあがり50μs)、PWM(立ちあがり50μs)、繰り返しインパルス電圧下における電位分布の測定を行った。その測定結果としては当初の指針通りの結果を得ているが、十分な試験数を得る前に、繰り返しインパルス電圧印加による表面の沿面放電による劣化が進行してしまった。現在、固体差による再現性を確認するため、試験数を増加させて実験を行うべく、複数のコイルバーを作成したところである。なお、絶縁上の再弱点である沿面放電発生時の電界を測定すべく、部分放電発光を測定する系の構築も済ませている。並行して、より高い電圧で駆動させるコイルを対象とした場合のセンサの概念設計を行った。現在のようなポッケルスセンサに誘導される電位差を測定するのではなく、誘導される電界を測定し、逆計算を施すタイプのセンサとする構造である。結晶の納期の都合上、試作は、次年度に行う。 研究実施期間を1年延長し、必要とするデータの測定終了次第、コイル端の絶縁設計の合理化の提言を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3年間においてセンサのプロトタイプの開発・製作は終え、光学台の上に固定したコイルバーの測定に使用してきている。有限要素モデルによる解析により、電界緩和層の半導電層の巻き数(厚み)を変化させたコイルバーの有用性が予想されたため、このようなコイルを試作し、正弦波交流、方形波(立ちあがり50μs)、PWM(立ちあがり50μs)、繰り返しインパルス電圧下における電位分布の測定を行っている。その測定結果としては当初の指針通りの結果を得ているが、十分な試験数を得る前に、繰り返しインパルス電圧印加による表面の沿面放電による劣化が進行してしまっており、現在、固体差による再現性を確認するため、複数のコイルバーを作成し納品されたところである。また、より高い電圧で駆動させるコイルを対象とした場合のセンサの概念設計を行った。現在のようなポッケルスセンサに誘導される電位差を測定するのではなく、誘導される電界を測定し、逆計算を施すタイプのセンサとする構造である。センサの試作は次年度に行う。
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今後の研究の推進方策 |
コイル端電界緩和層の電位分布の測定に関して、固体差による再現性を確認するため、複数のコイルバーを作成し納品されたところである。電源、部分放電(沿面放電)発光測定システムも構築済みである。複数個のサンプルを対象に、各種波形印加下における電位分布の測定を行い、コイル端の絶縁設計の合理化の提言を行う予定である。 また、センサの適用範囲を拡張すべく、大型発電機などより高電圧で駆動されるコイル端の電界分布への適用を念頭に、電界測定タイプセンサの試作を並行して進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
予想外の実験結果が得られたため
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次年度使用額の使用計画 |
繰り返しインパルス電圧印加時において、予想に反した速度で、低抵抗層の劣化が進行することが判明した。 そのため、コイル端電界緩和層における電位分布測定サンプルが足りなくなり、サンプル(回転機メーカーに製作依頼)の再製作に時間を要した。延長した上で、各電圧波形下におけるサンプルの電位分布測定を行う。沿面放電も並行して測定できるので、沿面放電の発生モードと劣化の進行状況の相関も合わせて測定する。並行して、高電圧コイル端電位分布測定用センサの開発を行う。消耗品としての電子部品、光学部品購入に関する支出、センサの製作、加工に関わる支出、表面状態の検査費用に関わる支出を予定している。また、本研究成果を学術誌に投稿(電気学会、IEEEなど)、国際会議(IEEE/CEIDP)で発表する費用も予定している。
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