研究課題/領域番号 |
25289076
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
秋山 秀典 熊本大学, パルスパワー科学研究所, 教授 (50126827)
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研究分担者 |
勝木 淳 熊本大学, パルスパワー科学研究所, 教授 (80233758)
矢野 憲一 熊本大学, パルスパワー科学研究所, 教授 (70311230)
ホセイニ ハミドレザ 熊本大学, パルスパワー科学研究所, 教授 (00543406)
浪平 隆男 熊本大学, パルスパワー科学研究所, 准教授 (40315289)
佐久川 貴志 熊本大学, パルスパワー科学研究所, 准教授 (40398186)
王 斗艶 熊本大学, 大学院先導機構, 准教授 (30508651)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | パルスパワー / バイオエレクトリクス |
研究概要 |
パルス幅はナノ秒と短いが、その出力は一つの電力会社の最大供給電力に匹敵するような電力をパルスパワーと呼ぶ。そのエネルギーは100Wの電球を0.1 秒間つける程度と極小である。このパルスパワーを生体に印加することにより、皮膚がんの消滅や傷の回復(医療分野)、アオコの処理(水環境)、柔らかい高齢者用食品(健康福祉)、藻類からの油分離(エネルギー)、植物工場や魚養殖工場(農漁業)等、多くの重要な研究がなされており、この新しい異分野融合型の研究領域をバイオエレクトリクスと名付けている。パルスパワーの生体への作用の解明と応用展開を目指して、世界トップレベルの15機関でBioelectrics国際コンソーシアムを形成している。本研究目的は、バイオエレクトリクスに特化した全固体素子を用いたパルスパワー技術の新展開とパルスパワーの生体への作用の解明である。さらに、本基盤研究の遂行とともに、Bioelectrics国際コンソーシアム各機関との共同研究を通した応用研究の展開につなげる。 平成25年度は、バイオエレクトリクス分野に特化した高機能ナノ秒パルスパワー発生装置を全固体素子を用いて製作し、その制御にはFPGA (Field Programmable Gate Array)を用いた。さらに、パルスパワーを生体に印加した時の、人の細胞の応答、特にMAPK(Mitogen Activated Protein Kinase)経路応答の解明、パルス幅が10ナノ秒のパルスパワーをシロイヌナズナ等植物に印加することによる植物への刺激効果、アオコ処理装置の性能試験を熊本県内のダムで実施、 パルスパワーによる藻類の成長促進と油分離研究のための藻類培養の実施、及びチェコのInstitute of Plasma Physicsとパルスパワーを用いた衝撃波の発生に関する共同研究を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の研究計画として記述した、高機能ナノ秒パルスパワー発生装置の開発、細胞への刺激効果解明、植物への成長促進機構の解明、アオコ処理装置の性能試験、藻類の成長促進と油分離、及び衝撃波の生成と医療応用の目的をおおむね達成した。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画通り、平成26年度は、下記項目の研究を実施する。 1.バイオエレクトリクスに特化したパルスパワー発生装置開発:サブナノ秒のパルス幅をもつ高機能パルスパワー発生装置を開発する。全固体素子でサブナノ秒パルスパワー発生装置製作がうまくいかない場合は、部分的に放電スイッチを使い、本科研費の計画年度内に全固体素子に改良する。 2.パルスパワーの細胞への作用(分子機構)解明:パルスパワーを生体に印加した時のストレス応答、特にストレスセンサーの活性化を調べることにより、パルスパワーの細胞へのストレス作用を解明する。 3.パルスパワーの植物への作用解明:植物工場に関連して、パルスパワーの植物成長促進について、遺伝子レベルの機構解明に加えて、色々な植物を用いて調べる。 4.パルスパワー利用機器の性能試験:嚥下障害や誤嚥を起こす高齢者の食事を改善するための非加熱調理器の実用化をめざし、性能試験を行う。
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