研究課題
パルス幅がナノ秒と短い大電力をパルスパワーと呼び、単発でのエネルギーは10Jと極小である。このパルスパワーを生体に印加することにより、皮膚がんの消滅や傷の回復(医療分野)、アオコの処理(水環境)、柔らかい高齢者用食品(健康福祉)、藻類からの油分離(エネルギー)、植物工場や魚養殖工場(農漁業)等、多くの重要な研究がなされており、この新しい異分野融合型の研究領域をバイオエレクトリクスと名付けている。パルスパワーの生体への作用の解明と応用展開を目指して、世界トップレベルの15機関でBioelectrics 国際コンソーシアムを形成している。本研究目的は、バイオエレクトリクスに特化した全固体素子を用いたパルスパワー技術の新展開とパルスパワーの生体への作用の解明である。さらに、本基盤研究の遂行とともに、Bioelectrics 国際コンソーシアム各機関との共同研究を通した応用研究の展開につなげる。平成26年度は、半導体オープニングスイッチを用いて立ち上がり時間が1ナノ秒のパルスパワー発生装置の製作を行うと共に、パルスパワーの細胞へのストレス作用等細胞への作用(分子機構)をある程度解明した。さらに、パルスパワーの固体への作用解明も進み、超臨界プラズマ反応装置の性能試験などのパルスパワー利用機器の性能試験も進んだ。バイオエレクトリクス国際コンソーシアム機関との共同研究推進も着実に進んだ。
2: おおむね順調に進展している
平成26年度の研究計画として記述した、高機能サブナノ秒パルスパワー発生装置の開発、細胞へのストレス応答の解明、植物の成長促進機構の解明、非加熱調理器の性能試験、及びバイオエレクトリクス国際コンソーシアム機関との共同研究推進の目的をおおむね達成した。
当初計画通り、平成27年度は、下記項目の研究を実施する。1.がん細胞のアポトーシス誘導機構解明:パルス電界をがん細胞に印加することにより、ネクローシスとアポトーシスが起こっている。その相違を明らかにする。2.植物の成長促進機構の解明:パルスパワーが直接植物に影響するのか、周囲環境である水に変化を起こして成長促進をするのかを調べる。3.非侵襲がん治療装置の性能試験:現在のバースト高周波では電界強度が小さくがん細胞への影響がないことが分かってきたので、高出力のバースト高周波発生装置を開発する。4.バイオエレクトリクス国際コンソーシアム機関との共同研究推進:色々なグループとコンタクトを取り、並行して複数の共同研究を実施する。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (16件) (うち国際共著 1件、 査読あり 16件、 オープンアクセス 15件、 謝辞記載あり 15件) 学会発表 (17件) (うち招待講演 1件)
Bioelectrochemistry
巻: 103 ページ: 103-110
10.1016/j.bioelechem.2014.08.019
Japanese Journal of Applied Physics
巻: 54 ページ: -
10.7567/JJAP.54.01AA01
IEEE Transactions on Plasma Science
巻: 42 ページ: 3633-3638
10.1109/TPS.2014.2333053
Journal of Physics D: Applied Physics
巻: 47 ページ: -
10.1088/0022-3727/47/43/435205
巻: 42 ページ: 3226-3230
10.1109/TPS.2014.2345074
巻: 42 ページ: 3258-3263
10.1109/TPS.2014.2345435
巻: 42 ページ: 3209-3214
10.1109/TPS.2014.2328096
巻: 42 ページ: 3215-3220
10.1109/TPS.2014.2338353
巻: 42 ページ: 3202-3208
10.1109/TPS.2014.2326599
Journal of Applied Physics
巻: 116 ページ: -
10.1063/1.4896266
Applied Physics Letters
巻: 104 ページ: -
10.1063/1.4867883
Applied Physics Express
巻: 7 ページ: -
10.7567/APEX.7.026201
IEEE Transactions on Dielectrics and Electrical Insulation
巻: 21 ページ: 1089-1094
10.1109/TDEI.2014.6832252
Archives of Biochemistry and Biophysics
巻: 555-556 ページ: 47-54
10.1016/j.abb.2014.05.020
電気学会論文誌A(基礎・材料・共通部門誌)
巻: 134 ページ: 211-216
10.1541/ieejfms.134.211
巻: 42 ページ: 794-798
10.1109/TPS.2014.2303512