研究課題/領域番号 |
25289078
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
星 伸一 東京理科大学, 理工学部, 教授 (70292480)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 燃料電池 / 水素 / 新エネルギー / 再生可能エネルギー / パワーエレクトロニクス / 水素化ホウ素ナトリウム / 無機ハイドライド / 電力変換回路 |
研究実績の概要 |
本年度実施した項目と得られた成果を以下に示す。 1.定置型システムの実証試験 提案システムの実証用燃料電池の定格出力電圧は18Vであり、一般家庭用の商用出力を得るためには、この電圧を8~10倍昇圧する必要がある。このための電力変換回路として、結合インダクタを用いたコンバータをインターリーブ化したDC-DCコンバータ(提案回路1)と多相絶縁型SEPICコンバータ(提案回路2)の実験を行った。その結果、提案回路1、2共に所望の昇圧比が得られることが示された。また、提案回路2を燃料電池に接続することで、燃料電池の定格まで実験を行うことができた。これらの結果は、8月に開催された電気学会産業応用部門大会(2件)、10月に米国で開催された国際会議(1件)、2月に開催された電気学会研究会(2件)で発表した。なお、その内の1件で、発表した学生がYPC優秀発表賞とIEEE IAS Japan chapter 2014 Young Engineer Competition Awardを受賞した。
2.燃料カートリッジ及び燃料フィードユニットの改良 提案システムでは、粉体燃料を水と混合し反応器へ送ることで水素を生成する。従来のシステム(燃料フィードユニット)では、粉体燃料をタンクから送る際に、10gずつ計量し、それを混合タンクに送る方式を採用していた。二軸型テーブルフィーダー方式を採用することで、排出量を制御可能な試作機を、今年度の研究で開発した。この試作機を用いた実験結果については、3月に開催された電気学会全国大会で発表した。その他、水素生成促進剤の水素生成速度の向上効果について検証し、その結果を5月に横浜で開催された国際会議で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請時に記載した今年度の研究実施計画では、1.定置型システムの実証試験、2.燃料カートリッジ及び燃料フィードユニットの改良を実施することにしていた。研究実績の概要に示した通り、今年度はこの2点について主に研究を実施し、国内及び国際学会で発表を行った。その内、平成26年電気学会産業応用部門大会ヤングエンジニアポスターコンペティション優秀発表賞及びIEEE Industry Applications Society Japan Chapter 2014 Young Engineer Competition Awardを大学院生が受賞するなどしている。以上のことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
水素エネルギー社会に対する期待がより高まっている中、本研究で用いている粉体燃料を用いた燃料電池電気自動車について、昨年10月にはテレビ番組で取り上げられるなど、本研究に対する期待も高まっている。今年度実験を行った結果、提案回路の効率が若干低い点もあり、この改善を行う。また、燃料電池で発生した水の量が現段階では予想より少ないため、より多くの水を回収し利用するシステムの構築を行う予定である。さらに、燃料カートリッジ、及びリアクタの改良についても予算の範囲内で引き続き行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度に購入予定の電力測定器を電力変換回路の連続運転評価を考慮し、平成27年度の実施に変更した。また、平成27年9月にスイスで開催される国際会議に採択されており、その旅費等も考慮して次年度に繰り越しを行った。
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次年度使用額の使用計画 |
電力測定器の購入、及び国際会議の参加費、旅費に充当する。
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