研究課題/領域番号 |
25289085
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
日暮 栄治 東京大学, 先端科学技術研究センター, 准教授 (60372405)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 低温接合 / 高放熱構造 / 半導体レーザ |
研究概要 |
表面活性化接合法(Surface Activated Bonding) に着目し、直接遷移型III-V族化合物半導体のガリウム砒素(GaAs)ウェハと大きな熱伝導率を有するIV-IV族化合物半導体の炭化ケイ素(SiC)ウェハを直接またはAu薄膜(厚さ:50 nm以下)を介して張り合わせたGaAs/SiC高放熱構造を提案した。 GaAs/SiC構造の熱抵抗を有限要素法解析から見積り、SnAgはんだ接合を直接接合で行うことにより、はんだ厚み10μmと比べて10 K/W程度の熱抵抗の向上が見込まれることを示した。 さらに、実験によりGaAsウェハとSiCウェハが直接、表面活性化接合可能であること、薄いAu薄膜を用いた表面活性化接合法では、大気雰囲気下で、常温・低荷重のウェハレベル接合が可能であることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
中間層を用いた接合における、中間層のデバイス熱抵抗への影響を有限要素法解析により明らかにすること、GaAs/SiC構造を表面活性化接合により実現することを目標としていた。その結果、中間層に用いる材料やその膜厚によりどのようにデバイスの熱抵抗が変化するのかを熱解析により明らかにし、GaAs/SiCウェハの表面活性化接合に成功したので、おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに得られた結果を基にして、次の2 つの課題を考えることで研究を推進させていく。 1、直接遷移型化合物半導体と高熱伝導基板の材料の組み合わせの違い(例えば、InP/SiC)や寸法がデバイス熱抵抗に与える影響を有限要素法熱解析から明らかにする。 2、前年度の実験で、50 nm以下の膜厚の平滑な金薄膜を接合に用いることが、大気圧雰囲気下での常温ウェハレベル接合に極めて有効であることを明らかにしたので、このAu-Au接合の接合条件(特に大気暴露時間)と接合強度の関係、成膜条件と接合特性の関係、接合後の界面微細構造を明らかにする。 これらの研究で得られた結果を整理して、表面活性化接合を利用した信頼性の高いIII-V族化合物半導体素子/高熱伝導基板構造作製技術を確立できるよう研究を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度、接合装置を使用中に故障が生じ、実験の一部を次年度に行うことにしたため。 ウェハ購入、分析および成膜に使用し、昨年度行えなかった接合実験および接合界面評価を遂行する。
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