研究課題/領域番号 |
25289087
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
早川 泰弘 静岡大学, 電子工学研究所, 教授 (00115453)
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研究分担者 |
立岡 浩一 静岡大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40197380)
池田 浩也 静岡大学, 電子工学研究所, 准教授 (00262882)
ムカンナン アリバナンドハン 静岡大学, 電子工学研究所, 助教 (50451620)
岡野 泰則 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (90204007)
稲富 裕光 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, その他部局等, 准教授 (50249934)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 熱電デバイス / 混晶半導体 / シリコンゲルマニウム / 溶質輸送効果 / X線透過法 |
研究概要 |
本研究の目的は、SiGeとMg2SiGeタンデム型熱電セルを作製し廃熱の有効利用に寄与することである。そのために、SiGe混晶半導体バルク結晶成長に対する溶質輸送効果を明らかにし、高品質な結晶成長技術を開発する。具体的には、(1) X線透過法によるSiGe高温溶液中の濃度分布その場観察実験と数値解析による溶質輸送効果の把握、(2) 温度差徐冷法と熱パルス導入法を組み合わせた方法及び静磁場印加対流抑制法による均一組成SixGe1-x単結晶成長技術の開発、(3)不純物ドーピングと形態制御の最適化による熱電特性向上を図り、(4) SiGeとMg2SiGeタンデム型熱電セルを試作する。 本年度は、X線透過法を用いてSi供給原料溶解過程、Si-Ge溶液中の濃度分布、SiGe結晶成長過程を時間の関数として測定し、SiGe混晶半導体結晶成長に対する溶質輸送効果を調べた。Si種結晶/Ge/Si供給原料から構成されるサンドイッチ構造試料を窒化ボロン管に入れ、これをさらに石管に入れて真空封入した。この試料を温度勾配が1.16 °C/mmの電気炉の中に入れ、温度制御しながら、X線を試料に照射した。その結果、種結晶側の温度が供給原料側の温度よりも低いにも関わらず、低温側のSi種結晶の溶解が促進されることが明瞭に示された。これは、Siの液体密度がGeの液体密度よりも低いため、軽いSi溶質が密度差に起因した溶質対流により上部に輸送され種結晶側の溶液が未飽和になるためであった。一方、上部の供給原料近傍では、Si溶質濃度が高くなるため、供給原料の溶解が抑制された。この結果は、結晶の溶解過程に重力が大きな影響を及ぼすことを示している。温度差法徐冷法を用いて、均一組成のSiGe混晶半導体のバルク結晶を成長させた。n型不純物としてSb を1x1018 cm-3 添加したSiGe結晶のゼーベック係数は室温で350 マイクロV/K、抵抗率は0.053 オーム-cmであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的の中の(1) X線透過法によるSiGe高温溶液中の濃度分布その場観察実験と数値解析による溶質輸送効果の把握、(2)均一組成SixGe1-x単結晶成長技術の開発に関して成果が得られた。研究成果も学術論文Journal of Alloys and Compounds(IF:2.5)に採択され、また本研究に関する著書も1冊刊行しており、研究はおおむね順調に進展していると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
問題点はない。今後、不純物ドーピングと形態制御の最適化による熱電特性向上を図り、(SiGeとMg2SiGeタンデム型熱電セルを試作することに挑戦する。
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