研究課題/領域番号 |
25289097
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
小野 浩司 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (10283029)
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研究分担者 |
川月 喜弘 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60271201)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 液晶 / 回折格子 / 光配向 / フォトニック素子 / 偏光 |
研究概要 |
液晶光配向技術を用いた偏光干渉法による多次元フォトニック素子を創成するために、我々が開発した光架橋性高分子液晶を用いた捻れ配向技術を開発し、捻れ配向を含む2次元の回折格子素子を作製した。我々の開発してきた光架橋性高分子液晶は、偏光紫外線露光による軸選択的光架橋反応及び液晶分子の協調配向によって大きな異方性を発現させ、さらに低分子液晶を配向させることができる。我々の光配向技術の特徴は、強固な配向規制力が得られるだけでなく、露光量によって直交光配向と平行光配向を制御出来る事にある。昨年度は、この光架橋性高分子液晶の光配向技術の特徴を生かし、ガラスセルの両内面に光架橋性高分子液晶を塗布した空セルに外部から偏光紫外線を露光し、片側の光架橋性高分子液晶の光吸収によって両内面への露光量に差を付けることによって、一度露光で捻れ配向構造を形成する事ができることを見いだした。この技術を用いる事で、種々の偏光および強度分布を有する偏光干渉露光によって、露光面内だけでなく液晶セル内の捩れ配向分布を制御することが可能であることが見いだされ、偏光干渉法による多次元フォトニック素子を創成するための要素技術を開発できた。作製された偏光回折格子の偏光回折特性は理論で予想されたものと一致しており、計画していた光学特性および配向分布特性の理論解析手法の確立も確認出来た。これらの結果を踏まえて今後最終年度に向けて多光束での干渉露光法によって多次元フォトニック素子の創成の検討に入る予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では、25年度には、まず2光波での偏光干渉露光法によって、光波伝搬方向(厚さ方向)での液晶分子の捻れ構造を含む配向構造を制御する技術の開発を目指していた。2枚の基板を組み合わせた低分子液晶充填前の空セルに、偏光紫外光を照射し、上側基板における光吸収によって上下基板の露光量が変わることを利用した一度露光によって捻れ配向構造を形成できることを偏光回折格子に適用できることが見いだされ、さらに、種々の偏光回折格子液晶セルの形成にも成功した。また、これらの特性を理論的に解析する手法も確立できた。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の2光束偏光干渉露光による液晶分子の捻れ構造を含む配向分布制御技術およびその光学特性に関する検討、および適切な材料の検討結果をもとに、多光束偏光干渉露光実験光学系を構築し、強度及び偏光が変調された干渉露光と偏光および露光量によって制御される液晶の3次元配向によって異方性フォトニック構造を創成する。このことによって初年度の結果を発展させ、多次元回折が可能な偏光変換・分離・検出機能を有する異方性フォトニック回折格子素子の実現を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
購入予定の干渉露光用レーザーをとりあえず試験的に現有レーザーで代用した。またさらに新上位機種が出たため、設備使用計画を変更した。 上記新上位機種の発売状況及び本年度の研究進捗状況を鑑みて、本年もしくは来年度に基金部分を使用する。
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