n-InSb/Al2O3/Si(111) MOSFETの性能向上を目的として、短ゲート化を試みた。エミッタ電極用金属パットとコレクタ電極用の金属パットを別々に形成することで、合わせ精度が0.9umの電子ビーム露光装置を用いて0.14umのゲート長を持つデバイスの作製に成功した。 また、これまで作製したデバイスでは、ゲート電圧により電流をオフできないという問題があった。この解決策として、InSbチャネル層の厚さをこれまでの40nmよりも薄くすることを検討した。しかし、InSbの厚さが薄いデバイスは動作しなかった。このため、InSb成長後のSEM像を観察したところ、膜厚40nm未満の試料ではInSbが連続膜になっておらず、InSb薄膜の厚さが少なくとも40nmは必要であることが分かった。 さらに、これまでのデバイスでは、InSbチャネル層とゲート絶縁膜との間に存在する界面準位密度、及びInSbチャネル層から下地のSi基板へのリーク電流がデバイス特性の低下を引き起こしていた。このため、これらを低減するため、InSbチャネル層とゲート絶縁膜との間に薄いGaSb層を挿入し、チャネル層を絶縁膜から引き離す構造の作製を試みた。また、昨年のGaSb層を介した高品質なInGaSb薄膜上にInSb薄膜を成長し、InGaSb薄膜がリーク電流を抑えるバリア層として機能するかどうかを電気的特性により確認した。 上記の試料を用いてデバイス作製プロセスを行い、ゲート絶縁膜としてSiOを用いたMOSFETを作製しデバイス特性を測定した。しかし、ゲート絶縁膜のリークがありデバイス特性の測定はできなかった。
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