研究課題/領域番号 |
25289102
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
小川 真人 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40177142)
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研究分担者 |
相馬 聡文 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20432560)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 京コンピュータ / 非平衡グリーン関数法 / 強束縛近似法 / 超並列高速化グリーン関数ソルバー / Jacobi-Davidson 型固有値問題 |
研究実績の概要 |
◇超並列化 Jacobi-Davidson 型固有値問題解法ルーチンの作成 前年度に引き続きナノワイヤFETや2次元シートFETなどにおいて閉じ込めモードを用いることで計算負荷を減らすことが可能であり,強束縛近似法を用いて現在6000x6000次元(s,p, s* 原子軌道を持つ2000個の原子)を取り扱うことが可能となったこと,および輸送特性の解析が可能な解法ルーチンを構築することができた。 ◇超並列高速化グリーン関数ソルバーの作成 京コンピュータと同等のアーキテクチャを持つFX-10を用いて「京」特有のループ融合技術と,キャッシュの競合削減技術により以下の点で進展を見た。特に,BPSM(Bridge Function Pseudo-Spectral Method)と固有値問題解法を複合し,強束縛近似モデルによる実空間対角表現とモード対角表現の行列表現のうち疎になる表現を自動的に選定するルーチンを「京」固有のメモリ連続アクセス,メモリキャッシュライン技術を開発により,非平衡グリーン関数を高速に解くことの出来るアルゴリズムを構築した. ◇グラフィカル・ユーザインタフェース( GUI )プロトタイプの構築 本学ポートアイランド統合研究拠点に2015年に機能拡張した3次元可視化システム(π-CAVE)を用い,「計算科学におけるデータ可視化研究拠点の形成」プロジェクトと協働を図り,空間と時間の大規模4次元シミュレーションデータ可視化のプロトタイプを作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
並列高速化グリーン関数ソルバーにおいて扱える次元数を前年度よりも増やすことが可能となり,さらに大規模な計算が可能となったことによる。
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今後の研究の推進方策 |
□ 電子系-熱伝達系の連成シミュレーション フォノン散乱,フォノン輸送シミュレーション,界面ラフネス散乱などの散乱機構がもたらす発熱効果を原子スケールモデルで取り入れる。 □ 原子スケールモデルの精緻化 強束縛近似パラメータは,電子のバンド構造,フォノンのバンド構造のみを再現できるものを用いているが,上記のようにフォノン,電子相互作用のあるときには,固有関数(固有ベクトル)の精度も重要であり,それに関して検討した研究は皆無である。従来本研究者の行ってきた手法の範囲内で取り組むことが可能である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本学にあるFX-10(京コンピュータの一筐体)を利用して京コンピュータのメモリアクセスマッピング,キャッシュラインやTOFUを利用した超並列化の検討を行うことができたため,京コンピュータの使用料を軽減することが可能となったため。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度も超並列化フィージビリティスタディにおいてはFX-10を最大限利用し,性能が出ることを見込んでから,京コンピュータの効率的な利用を目論む。
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