研究課題/領域番号 |
25289106
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
渡邊 健夫 兵庫県立大学, 高度産業科学技術研究所, 准教授 (70285336)
|
研究分担者 |
木下 博雄 兵庫県立大学, 高度産業科学技術研究所, 教授 (50285334)
原田 哲男 兵庫県立大学, 高度産業科学技術研究所, 助教 (30451636)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | EUVリソグラフィ / レジスト / 感度 / LWR / 軟X線吸収分光 |
研究概要 |
H25年度は、以下に示す4つの研究内容について研究を進めた。これらの研究内容についての研究実績を以下のとおり記載する。 1)高反応収率レジストの設計: エステル結合を含むレジスト基材、並びにimidate の環構造をアニオン部にもつ種々の酸発生剤(PAG)を対象に、PAGの種類を増やして、放射光による吸収分光法による(ニュースバル放射光施設の 吸収分光専用BL07B ビームライン)測定を進めた。この結果、PAGのアニオン部にImidate構造を有するPAGが、一般的に高感度を示すのはアニオン部の分解反応に起因することが分かった。 2)酸発生効率測定系の構築: EUV光露光によりPAGから発生する酸の発生効率を調べる必要がある。このため、H25年度ではBL3ビームラインの既設の照射系の改造を進めた。4インチの石英ウェハを搭載できるように、真空チャンバー、ウェハ交換用のロードロック真空チャンバー、並びにウェハステージを新規に製作し、これらをBL3のビームラインのエンドステーションに新たに設置した。 3)光電子分析装置による分析手法の確立: この分析手法を確立させるためには、解像性能向上を図る必要が出てきた。このため、H25年度は、(株)北海光電子の協力のもとで、解像性能向上を目的に光電子分析装置の電磁レンズ拡大系のレンズ補正シミュレータの開発を進めた。 4)EUVレジスト合成の検討: H25年度に、レジスト基材や酸発生材の合成反応の終点検出に用いて、高感度かつ低LWRのレジストの基材の合成の検討を進めた。EUVレジストの合成の収率向上を目的に、液体クロマトグラフィ(HPLC)を導入した。この装置を用いて、EUVレジストの合成の検討を進める。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初目標としていた、1)高反応収率レジストの設計では、軟X線吸収分光の反応解析を進めた結果、PAGの高感度化についての指針を得ることができた。また、2)酸発生効率測定系の構築については、当初の計画どおり、EUV光露光によりPAGから発生する酸発生異効率の評価系を構築することができた。さらに、3)光電子分析装置による分析手法の確立では、当初はこの分析手法を確立することを目的にしていたが、更なる高解像性能が必要となったため、H25年度は(株)北海光電子の協力のもとで、解像性能向上を目的に光電子分析装置の電磁レンズ拡大系のレンズ補正シミュレータの開発を進めた。以上の内容に加えて、1)で得られた研究成果を進展させるために、4)EUVレジストの高感度化および低LWR化を目標に、EUVレジストの合成の検討を始めた。 以上に記述したように、4つの研究内容のそれぞれの研究成果を総合すると、計画当初以上に進展していると言える。
|
今後の研究の推進方策 |
H26年度は最終年度である。このH26年度では、1X nmのEUVレジストの実現に向けて、ニュースバル放射光施設のビームラインを用いて、軟X線による反応解析、EUV光による干渉露光系の開発、光電子顕微鏡の測定技術の確立であったが、光電子顕微鏡では高分解能での分析が必須であり、このためのシミュレーション技術開発を進める。一方で、高感度かつ低LWRを有するEUVレジストの開発には、上記のEUV光照射化での軟X線吸収分光による反応解析に加えて、レジスト基材の合成および酸発生剤の合成の検討を継続する。 このように、反応解析から合成およびEUVレジスト評価系の開発を通じて、1X nm用高感度かつ低LWREUVレジストの開発を進める。
|