研究課題/領域番号 |
25289107
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
山口 明啓 兵庫県立大学, 高度産業科学技術研究所, 准教授 (70423035)
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研究分担者 |
多々良 源 独立行政法人理化学研究所, 創発物性科学研究センター, チーム長 (10271529)
能崎 幸雄 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (30304760)
浮田 芳昭 山梨大学, 総合研究部, 助教 (40578100)
内海 裕一 兵庫県立大学, 高度産業科学技術研究所, 教授 (80326298)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | スピン波 / 表面弾性波 / 圧電体 / ナノ磁性体 |
研究実績の概要 |
RFIDやBluetoothなど非接触型近距離無線通信において、無線通信だけではなく、チップ内省電力化や無線電量供給機構を機器に搭載する要求が高まっている。この観点から電力損失のない手段として、電荷の流れを伴わないスピンによる情報伝達を実現する研究が進められている。本研究では、固体の結晶構造において、磁性を担う磁気モーメントと結晶格子が直接的に格子を介して結合していることから、固体中を伝播する格子振動によってスピン波を励起したり、スピン波の増幅効果等の物理現象が実現できる可能性を示すために、実証実験を行い、低損失な無線電力・情報輸送機構の実現を目指して研究を行っている。 本年度は、格子振動を制御して励起するために、圧電体基板LiNbO3にアルミニウムで櫛歯電極を作製した。その後、電子線リソグラフィーとリフトオフ法を用いて、強磁性体を圧電体基板に実装して、試料構造を創製した。試料特性を確認するために、圧電体基板に作製した櫛歯電極によって、表面弾性波を励起し、その特性を調べるためにネットワークアナライザーを用いたSパラメーター測定を行った。結果として、想定していた振動数で表面弾性波が励起できることを確認した。次に、磁性体の磁気抵抗効果ならびに強磁性共鳴特性を測定した。磁性材料として、ニッケルを用いた試料構造では、パーマロイ合金を用いた試料構造よりも検出信号が小さかった。これは、磁気抵抗比によるものであると考えられる。さらに、表面弾性波を入力したときの応答特性を測定したが、検出信号が小さいので、統計精度を上げて、実験を行う必要があると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在のところ、試料構造を形成し、測定を行えるようになった。今後は、系統的な測定結果を行うことで、シミュレーションとの比較検討を行いたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
形状や材料物性によって、共振周波数が異なる場合が考えられる。表面弾性波を生成する共振器特性は、構造と基板材料で固定されるので、磁性体の磁区構造等を系統的に制御して、物理現象の根幹となる特性究明を行いたいと考えている。
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