研究課題
本研究では、10nm以下の領域へのドーピングを実現し、次世代デバイスに適応可能な決定論的ドーピング法の確立を第1の目的とし、単一ドーパントシリコンデバイス、単一シリコン-空孔ダイヤモンドデバイスをはじめとする量子デバイスの物性制御を第2の目的としている。単一ドーパントの3次元規則配列が最終目標である。H26年度は、以下の研究項目に取り組んだ。研究項目1「10nm以下の領域への単一ドーパントドーピングプロセスモジュールの開発」:単一イオン注入装置の照準精度の向上のために、有機レジストナノホールマスクを介して単一イオンを注入するための条件出しを行い、位置合わせ精度と直径ともに20 nm以下にできる条件を見出した。3次元アトムプローブで注入イオンの基板内分布を測定できる手ごたえを得た。研究項目2「単一ドーパントシリコンデバイス量子輸送」:単一イオン注入装置を用いて、Erを打ち込むための新液体金属イオン源AuSiErの開発に成功した。Siデバイス中にErとOを共注入することが可能となり、シリコンフォトニクスの応用が可能となった。また、1 umのチャネル長を持つチャネルに10 nmピッチでGeイオンを注入したところ、Geバンドの電子輸送を室温でも観測できることを見出した。研究項目3「単一ドーパントシリコン-空孔ダイヤモンド量子発光」:単一イオン注入装置を用いて、単結晶ダイヤモンド薄膜にSi原子を打ち込み、Siと空孔からなるSiVセンタを作製し、ドースと生成収率との関係を明らかにした。1スポットあたり20個のSi原子を打ち込むと、生成収率15%で負に帯電したSiVセンタが生成されること、形成したスポットの中に単一のSiV-センタも存在すること、単一SiV-センタが単一光子源として機能すること、長時間の熱処理より輝度が十分に高くなることを見出した。
1: 当初の計画以上に進展している
研究項目2「単一ドーパントシリコンデバイス量子輸送」について、Si基板にErを打ち込むための新しい液体金属イオン源AuSiErの開発に成功した。単一イオン注入法のシリコンフォトニクスへの応用を広げる成果である。
ナノホールマスクを介してPイオンを注入し、3次元アトムプローブで注入イオンの基板内分布を測定する目処が立ったことを受け、単一ドーパントの分布と電気的特性との相関を明らかにして行く。
国際会議の参加日数が、当初の計画より短くなったため。
単一ドーパントドーピングプロセスモジュールの開発に充てる予定である。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 5件)
Appl. Phys. Express.
巻: 7 ページ: 115201(1-4)
10.7567/APEX.7.115201
Technical Digest of 2014 IEEE International Electron Devices Meeting (IEDM)
巻: - ページ: 9-12