研究課題/領域番号 |
25289111
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山本 博資 東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (30136212)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | フィードバック通信 / Yamamoto-Itoh通信方式 / 信頼性関数 / 誤り指数 / 達成可能領域 / 放送型通信路 / 多重アクセス通信路 / 誤り訂正符号 |
研究実績の概要 |
フィードバック通信路を利用できる場合の符号化法に関して,平成27年度までに,通信路がガウス雑音通信路でかつフィードバック通信路に雑音が存在する場合の符号化法,同定符号においてフィードバック通信路が利用できる場合の符号化,無雑音フィードバックで符号化レートがゼロの場合の最適な誤り指数,Posterior Matching(PM)法の多ユーザ通信路への拡張などの研究を行い,それらの成果を国際シンポジウム等において発表してきた. これに対して,平成28年度は新たに下記のような研究を行った. (A) 無雑音フィードバックが利用でき,符号化レートがゼロの場合で,かつメッセージ数が漸近的に無限大まで大きくできる場合に,最適な誤り指数を達成できる符号化法に関して,その成果をIEEE-ISIT2016 (2016IEEE International Sympium on Information Theory)で発表した. (B) フィードバック通信として高い性能を達成できるPM法を,放送型通信路(Broadcast Channel)および多重アクセス通信路(Multiple Access Channel)に対して拡張する方式およびその性能の理論解析に関する研究を昨年度実施したが,今年度はそれらの内容をさらに改良/洗練化した.これらの成果のうち,放送型通信に対する成果を,電子情報通信学会英文論文誌に投稿して,2017年5月号に掲載された. (C) フィードバック通信路を伴う離散的無記憶通信路に対して,最も大きな誤り指数(Brunashevの誤り指数)を達成できるYamamoto-Itoh方式を,放送型通信路および多重アクセス通信路に拡張する手法を新たに考案し,平成28年度は,その拡張方法を検討するとともに,その性能を理論的に評価した.さらに,その成果をIEEE-ISIT2017に投稿し,採択された(発表は2017年6月予定).
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」で述べたように,Posterior Matching(PM)法を,放送型通信路に拡張する手法に関する成果が電子情報通信学会英文論文誌(2017年5月号)に掲載された.また,新たにYamamoto-Itoh(YI)方式を放送型通信通信路に拡張する手法に関する成果を,国際シンポジウム(IEEE ISIT2017)に投稿し,採録が決定した(発表ha2017年6月予定). 本研究課題は当初2016年度で終了予定であったが,2016年度の成果である論文の掲載や国際学会の採択に時間がかかり,2017年に掲載・発表を行う必要が生じている.また2017年度に新たにYI方式を多ユーザ通信路に拡張する成果が得られた.そのため,下記の研究内容をさらに実施する必要があるため,終了時期を1年延期した.(a) PM法を多重アクセス通信路へ拡張する場合の成果を,電子情報通信学会英文論文誌に投稿する.(b) YI方式を放送型通信路に拡張する成果をIEEE ISIT2017で発表する.(c)YI方式を放送型通信路および多重アクセス通信路に拡張する成果を,学術論文誌に投稿する.
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度までに得られた成果を,まとめて発表する.具体的には次の事柄を実施する. (a) PM法を多重アクセス通信路へ拡張する場合の成果を,電子情報通信学会英文論文誌に投稿する.(b) YI方式を放送型通信路に拡張する成果をIEEE ISIT2017で発表する.(c)YI方式を放送型通信路および多重アクセス通信路に拡張する成果を,学術論文誌に投稿する.
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度までに行ってきた研究成果でまだ未発表の成果を,平成29年度に発表する必要が生じた.また,平成28年度に新たにYamamoto-Itoh(YI)方式を多ユーザ通信路に拡張できることを明らかにしたが,その研究をさらに洗練化して発表するた必要があるため,平成29年度に使用額が必要となった.具体的には下記の研究のために使用する. (a) PM法を多重アクセス通信路へ拡張する場合の成果を,電子情報通信学会英文論文誌に投稿する.(b) YI方式を放送型通信路に拡張する成果をIEEE ISIT2017で発表する.(c)YI方式を放送型通信路および多重アクセス通信路に拡張する成果を,学術論文誌に投稿する.
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次年度使用額の使用計画 |
下記のような目的に使用する. (1) PM法を放送型通信路に拡張した成果を発表した論文が,電子情報通信学会英文論文誌(29年度5月号)に掲載されたが,その論文の掲載料の支出.(2) 国際シンポジウム(2017 IEEE-ISIT2017)および国際ワークショップ(2017 IEEE-ITW)において研究成果の発表を行うための旅費.(3) 上記(a)-(c)などの研究項目において,方式の改良や性能評価の洗練化を行うために必要な設備および消耗品の購入.
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