研究課題/領域番号 |
25289121
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
塙 雅典 山梨大学, 総合研究部, 教授 (90273036)
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研究分担者 |
平田 修司 山梨大学, 総合研究部, 教授 (00228785)
佐藤 隆英 山梨大学, 総合研究部, 准教授 (10345390)
阪田 治 山梨大学, 総合研究部, 准教授 (30391197)
鈴木 裕 山梨大学, 総合研究部, 助教 (40516928)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 容量型非接触心電計測 / ウェアラブル胎児心拍信号測定 / 独立成分分析 / 低雑音増幅回路 |
研究実績の概要 |
1.容量型非接触新生児心拍測定技術:これまでに開発された容量型非接触心電計測技術を新生児に適用し、成人用の測定方法に新生児特有の条件を加味した方法を検討した。その結果、心電図の主成分であるR波の検出は可能となった。加えて、計測した長時間R波を解析して新生児の体調変化予測をするソフトウェアの開発を進めている。
2.ウェアラブル胎児心拍測定センサ:ウェアラブル胎児心拍測定用センサヘッドを用いた心拍測定技術を開発するとともに,母体心拍信号と胎児心拍信号を分離する信号処理技術について検討した.後者について多チャネルで測定した信号に独立成分分析を用いることでクリアに分離できることを確認したことから,最大6チャネルで測定可能なセンサヘッドおよび測定装置を作成し,本学医学部産婦人科学科の協力を得て妊婦の腹壁電位信号の実測実験を行った.
3.心拍信号取得・伝送装置:胎児および母体の心拍信号を取得し,無線伝送するシステムを構築した。取得した心拍信号から独立成分分析により胎児と母体の心拍の信号の分離を可能とするため,センサ後段の低雑音増幅回路の多入力化・小型化を実現する構成を提案した。後段の独立成分分析によりチャネル間干渉の影響が除去可能であることを活用し,大幅な小型・省電力化を実現した増幅回路の構成を提案した。提案する多入力増幅回路の一部の試作を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1.センサ使用方法の改善により、新生児のR波が計測可能となった。加えて、心拍変動(Heart Rate Variability: HRV)の長時間データに対して、情報理論に基づいて「体調変調時(特に急な血圧の降下)」を特定するHRV解析手法の開発を行ってきた。新生児の異常HRVデータは十分な数が無いために主として成人患者データを利用し、評価関数の組み立てを実施した。本件担当者が入試実施責任者に任命されたことから,昨年度は研究の進捗がやや遅れた.
2. 母体/胎児の信号分離技術は確立できたが,それに必要な多チャネル信号測定装置の実装に問題があり,多チャネルでの臨床信号測定が難航していることから「(3)やや遅れている」とした.これまでの成果(装置構成と実測例・信号分離技術)を2回国内学会において発表した.
3. 個別部品を用いた胎児の心拍測定システムの試作機の開発と,提案する小型・省電力化に適した多入力化増幅回路の回路設計およびレイアウト設計が完了している。提案する増幅回路は,既に基本部分を集積化しており,現在はその評価基板を作成している。設計した多入力増幅回路を心拍測定システムに用いることで胎児の心拍測定に適した多入力の心拍測定システムが完成する。小型・省電力化に適した多入力増幅回路の構成は国内学会において発表した。順調に進んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
1.心拍変動(HRV)分析法の開発を引き続き進め、新しい血圧降下予測技術の確立を目指す。これまでは成人透析患者から得られたHRVデータを使用して血圧降下予測を行ってきたが、新生児にも同様なメカニズムが存在すると仮定して、手法のカスタマイズに取り組む。余裕があれば、母体のHRV解析についても検討したい。
2. 多チャネル信号を同時取得する装置の改良を進めている.夏前を目処に試作装置を完成させ,再度臨床測定実験に臨む予定である.
3. 第1回試作の評価結果を反映した多入力増幅回路の設計を行う。再設計した結果を用いて平成27年7月に第2回試作を行う。試作した多入力増幅回路は,単体の性能評価を行うとともに,先に開発済みの心拍測定システムの初段に用いて多入力の心拍測定システムを実現する。実現した心拍測定システムを用いて実験を行い,多数の測定信号から微小な胎児の信号の復元が可能であることを確認する。後段の信号処理方法についても検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2.ウェラブル胎児心拍信号測定技術の開発に遅延が生じたため,当初プロトタイプ開発費として計上していた分の多くを次年度送りとした.
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次年度使用額の使用計画 |
最終年度内にプロトタイプ開発を行い使用する予定である.
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