研究課題/領域番号 |
25289128
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
三平 満司 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (00196338)
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研究分担者 |
中浦 茂樹 佐世保工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (20323793)
関口 和真 東京都市大学, 工学部, 助教 (80593558)
伊吹 竜也 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (30725023)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 制御工学 / 機械力学・制御 / 劣駆動系 / 非安定化 |
研究実績の概要 |
2014年度は,劣駆動システムに関する主要な3つの課題に対してそれぞれ順調に成果を挙げている.具体的には,まず3次元空間上の倒立振子安定化制御問題に対して,実機を用いた工学的応用を意識し,新たにクアッドロータモデルを導入した制御問題を考察している.本課題では,制御則の提案や収束性解析,数値シミュレーションによる有効性検証まで進めており,また新たな実験システム構築の準備を進めている.つぎに,2つ目の課題である人間の運動を模倣した4リンクロボットの跳躍・着地制御問題に対して,ロボットの重心の経路計画に基づく新たな跳躍・着地制御則を提案しており,数値シミュレーションによる有効性検証を行っている.着地制御問題では,従来手法が床反力を陽に考慮していないために実験検証で転倒が生じることに着目し,提案制御則において新たにZero Moment Pointという概念を導入している.さらに,3つ目の課題である人間の転がり運動を模倣した曲率を有する2リンクロボットの連続転がり制御問題に対して,転がり運動時の衝突によるエネルギー消費を考慮し,衝突を避ける制御則を新たに提案している.また,本課題に対しても数値シミュレーションでその有効性を確認している. さらに,2014年度は3つの主要課題に加えて新たに2つの課題に取り組んでいる.1つ目の課題として,6つのロータを用いた全駆動なヘキサロータシステムを新たに考案し,その位置・姿勢制御問題に対して,クアッドロータに見られる劣駆動性をあえて利用して制御した方が有用な状況があり得るという知見を得ている.また,2つ目の課題として人工衛星の長期運用によるアクチュエータの故障を想定し,人工衛星の2アクチュエータによる3次元姿勢制御問題に取り組んでいる.ここで対象となる人工衛星は劣駆動システムとなり,アクチュエータの配置構造と制御可能な人工衛星の姿勢の関係を考察している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2014年度は,研究計画で遂行予定であった劣駆動システムに関する主要な3つの課題,すなわちクアッドロータを用いた3次元倒立振子安定化制御問題,4リンクロボットの跳躍・着地運動制御問題,および2リンクロボットの衝突回避を考慮した転がり運動制御問題に対してそれぞれ順調に成果を挙げている.さらに,当初の計画になかった新たなヘキサロータシステムの考案・考察,および劣駆動な人工衛星の姿勢制御問題の考察に着手している点から,本研究は当初の計画以上に進展しているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
2015年度は,これまでに得られた成果に対する実機を用いた有効性検証を中心に取り組む.具体的には,まず4リンクロボットの跳躍・着地制御問題や2リンクロボットの連続転がり制御問題に対して,これまでの成果では新たな制御則の提案,数値シミュレーションによる検証,および実機の準備に留まっていたため,2015年度は実機を用いた有効性検証を行う. つぎに,3次元倒立振子安定化問題に対するこれまでの成果では,クアッドロータモデルを導入した新たな制御問題の構築,システムの双線形性に基づく最適制御手法の提案,制御性能解析および数値シミュレーションによる有効性検証を行っている.これに対して,2015年度は複数台のモーションキャプチャカメラを用いた観測システムを導入した実験環境を新たに構築し,実機を用いた有効性検証を行う. また,ヘキサロータの位置・姿勢制御に関して得られた知見に基づき,2015年度は全駆動な制御則と劣駆動性を利用した制御則を状況に合わせて切り替える手法の考案を試みる.さらに,ヘキサロータの実機製作に着手する. 以上,2015年度は主に実験による有効性検証に取り組むが,これらの検証から得られた知見を基に,システムの相対次数構造と劣駆動度の関係について新たな考察を行う.さらに,本考察に基づいて新たな制御手法の提案や課題の発見に取り組む.なお,本研究において主な理論構築は研究分担者および大学院生に協力を仰ぎ,実験システムの構築,検証については大学院生および学部生を中心に協力してもらう予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
新たな実験システム構築における実験用計算機の購入を延期したため.
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次年度使用額の使用計画 |
当初予定していた実験用計算機の購入費に充てる.
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備考 |
東京工業大学大学院 理工学研究科 機械制御システム専攻 三平研究室ホームページ http://www.sc.ctrl.titech.ac.jp
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