研究課題/領域番号 |
25289129
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
濱上 知樹 横浜国立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30334204)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | システム情報処理 / 機械学習 / 最適化 / System of Systems |
研究実績の概要 |
本年度では,ここまでに検討をしてきたiSoS基礎技術と設計論の社会実装にむけた取り組みを開始した。 まず,iSoSの主要アプリケーションとして位置づけている知的救命救急システムの実現に大きな進展があった。トリアージシステムの精度を85%にまで向上させることに成功するとともに,救急車ルーティングの詳細なシミュレーションシステムの実現に至った。この成果は,新聞,マスコミ等でも取り上げられ大きな波及効果が得られた。さらに,iSoSの要素技術の1つに位置づけているシステム間相互運用性実現のために,知的機構の転移を容易にするアンサンブル逆強化学習の萌芽的検討を開始し,シミュレーションレベルで効果が確認できた。 次に,iSoSがめざす持続可能社会に向けた取り組みとして,複数のインフラシステムへの技術転用を開始した。1つは機器故障診断・予知であり,機械学習による保守運用の最適化をめざした取り組みである。one-class SVMとマルチスケールの異常判定機構により,高い診断精度が得られることが確認でき,特許を取得している。さらにこの技術を転用した,水道インフラ制御に着手を開始した。 さらに,システム開発上不可欠なソフトウェアの品質評価について,ライフサイクルの長い通信インフラシステムを事例にした新たなメトリクスを開発した。 以上のように,ここまでに研究を進めてきた知的System of Systems 技術は当初目標を超えた様々なアプリケーションへの応用が達成できている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本分野については,社会的要請が高まっており,計画当初の予定にない様々な応用が期待されている。また,IoT, Cyber physical systems にみられる技術革新と合わせて,iSoSが果たす役割も広がっている。本年度ではこの動向に応えるために,具体的な応用先への展開を前倒しで進めるとともに,技術動向に追従するための新たな知的機構の展開を進めてきた。その結果として,具体的な応用成果と,萌芽的な技術開発に成功している。一方で,要素技術の個別展開のみならず,iSoS分野の体系化を図る取り組みが未着手となっているが,最終年度ではこれらの実施例をベストプラクティスとして体系化する予定となっており,現段階としては概ね順調な進捗が得られているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,iSoSのいくつかの具体的な応用先への展開をはかるとともに,Cyber Physical System研究との融合,発展をはかる。そのための体系化と相互運用技術の確立をはかる。そのための要素技術として,マルチランラムフォレストとアンサンブル逆強化を中心に位置づけ,特に,医療,社会インフラへの応用をもって本研究の成果とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
最終年度に開発予定のiSoSアプリケーションを増やしたため,最終年度に必要な予算が増え,その分を今年度分から事前に補填したため。
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次年度使用額の使用計画 |
知的救命救急システムに加え,院内トリアージ,ICUトリアージシステムの構築に全額を用いる。
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