最終年度では,ここまでに検討をしてきたiSoS基礎技術と設計論の社会実装にむけた取り組みを複数着手し成果に至っている。 iSoSの主要アプリケーションとして位置づけている知的救命救急システムの成功をうけて,さらにこれを病院初診診療科判定への展開を図った。アンサンブル学習によるトリアージアルゴリズムをカルテデータと医療データベースに対して転用し,実証実験に至っている。さらに,病院と地域を連携させることを目的に,企業,病院と共同でのプロジェクトに発展をし,iSoSのプラクティスに至ろうとしている。 iSoS間相互運用性実現のために,知的機構の転移を容易にするアンサンブル逆強化学習の応用では,別途進めている基礎検討とは別に,機器故障予測と水道自動制御への転用をはかりつつある。水道事業においては、下水処理場の自動化をめざした知的画面監視技術を開発し、実データを用いた評価で人による制御と遜色ない精度が達成された。機器故障診断では,実環境におけるone-class SVMとマルチスケールの異常判定機構を開発し,特許化,実証実験に至っている。また,機械学習による保守運用の最適化をめざした取り組みでは,深層学習を用いた画面画像からの学習により,高い精度での設備制御が可能であることを示した。 以上のように,ここまでに研究を進めてきた知的System of Systems 技術は当初目標を超えた様々なアプリケーションへの応用が達成され,当初の目的であったiSoS基盤の創生が達成できている。
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