研究課題/領域番号 |
25289134
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
半井 健一郎 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10359656)
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研究分担者 |
森 勝伸 群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (70400786)
乾 徹 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (90324706)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 土木材料 / コンクリート / 地盤 / 水環境 / 有害物質 |
研究実績の概要 |
研究プロジェクト会議を開催し,応用化学およびコンクリート材料化学を専門とする連携研究者と議論を行い,研究の方向性についての助言を受けた. 乾湿履歴や炭酸化の影響を受けたモルタル試料に関して,塩化セシウムの浸透および吸着試験を行い,炭酸化領域におけるセシウムイオン(Cs+)の吸着によって,深部への浸透が抑制されることを示した.また,塩分を含有する廃瓦を用いたコンクリートに関して,強度発現や水分逸散・収縮挙動を分析し,強度発現の促進や水分逸散および乾燥収縮の抑制効果があることを示した.ウッドチップ混入ポーラスモルタル(WPM)のセシウムイオン(Cs+)の保持挙動を調査し,Cs+に対するWPMの保持力は重金属イオン(たとえば、Cu2+)よりも弱く、イオン交換吸着の可能性が高いことを突き止めた.また,Csの保持は,水溶液のpH4-9において大きな変化が見られず,吸着速度も比較的早いことが分かった. 地盤材料を中心とする鉱物系材料による放射性物質および自然由来の重金属等の吸着・不溶化特性に及ぼす主要な共存イオンの影響をバッチ試験を中心とする室内試験で検討を行った。その結果,例えばNa型ベントナイトによる放射性物質の吸着には従来指摘されていたカリウムイオンに加え,カルシウムイオンの影響も同程度大きいことを明らかにした.さらに,溶脱や炭酸化といった環境作用を受けた際の脱着・再溶出のポテンシャルを室内促進試験により明らかにした. セメントペーストとベントナイトの境界部の変質挙動について,特に,ベントナイトに事前混合する炭酸ナトリウムの量が境界部に生成する炭酸カルシウム量や拡散抑制効果に及ぼす影響を分析し,一定量以上の炭酸カルシウムが生成した場合には,拡散抑制効果が明確になることを示した.また,ベントナイトの膨潤挙動への影響を分析し,炭酸ナトリウムなどの無機物質の混合によってアルカリ変質を抑制できることを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
セメント系材料の研究は,計画のの内容をおおむね順調に実施できている.一部,再試験による結果の精査が必要と思われる点があるが,十分な成果が期待できる.また,地盤工学分野におけるセメント系材料を含む鉱物系材料による固化・不溶化工法の検討についても概ね計画通りに実施できている.一方,遮水工法については十分な検討にいたっていないが,有害物質の吸着性に着目した新たな対策工法の検討を重ねており全体としてはおおむね順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は最終年度であることから,これまでに実施してきた実験による各種対策工法の中長期性能の評価に加えて,それらの結果に基づく長期性能の推定,配合選定へのフィードバック,対策工法の適用条件の整理といった実際の対策工事への実装に資する形で実験結果のとりまとめを行う.また,引き続き研究プロジェクト会議を開催して,コンクリート・地盤・環境化学の分野間連携を深めるとともに,研究成果の対外発表を積極的に行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画においては,各種対策工法の中長期性能の評価のための室内実験に要する物品費,実験協力者への謝金支出を予定していた.しかしながら,長期性能を検証する実験が進行中であり,最終的な結果分析に要する物品と協力者の雇用が平成27年度前半にずれこんだために当初予定していた使用額が減少した.
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度前半に現在進行中の実験供試体の分析を実施する計画であることから,実験の実施に伴う物品の購入,実験協力者の雇用に平成27年度分として請求した研究費と併せて使用する計画である.
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