研究課題/領域番号 |
25289136
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
五十嵐 晃 京都大学, 防災研究所, 教授 (80263101)
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研究分担者 |
古川 愛子 京都大学, その他の研究科, 准教授 (00380585)
党 紀 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (60623535)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 耐震設計 / 免震構造 / 制震構造 / ダンパー / 2方向入力 / スペクトル適合地震動 / IDA |
研究概要 |
本年度は、主に以下の3つの成果が得られた。 (1)ゴム支承を用いた免震橋梁の2方向応答特性:1方向と2方向入力の場合での応答の大きさの相違の特性は入力地震波により異なり、ばらつきを伴う。そこで、多数の水平2方向地震動入力波形を用いて漸増動的解析(Incremental Dynamic Analysis, IDA)を行い、フラジリティカーブの生成および区間推定の観点から、1方向解析との応答差を統計的に検証した。その結果、地震動の2方向入力の場合、1方向独立入力に比べて大きな応答が生じる可能性が高いことを定量的に示されること、主要動と最大応答の方向が一致しないことがその大きな原因であることを明らかにするとともに、そうした地震応答の特性不確定性を考慮した簡易な設計法を検討した。 (2)適用性の高い水平2方向入力地震動の作成法の開発:2方向地震動を考慮した耐震性能照査を目的として、与えられた応答スペクトルに適合する水平2方向地震動の加速度波形を生成する手法として,1方向のスペクトル適合地震動とその「相補直交成分波」を組み合わせて作成する方法が提案されている。この方法について、1方向の入力地震動に比べ構造物に対する作用が結果的にやや大きく現れる傾向があることや,構造物モデルへの地震動作用の近似の観点から見た場合,実際の入力の持つ方向性が完全に無視されている等の課題を解決するため、2方向入力地震動の楕円偏極指標に着目したスペクトル適合水平2方向入力地震動を作成する方法を開発した。 (3)2方向入力地震動を基準とした免制震橋梁の変位ベース設計法の検討:基本的に水平1方向を前提とした従来の変位ベース設計法を拡張し、2方向入力時の線形または非線形ダンパーを用いた橋梁について、ダンパー軸方向変位量とダンパー軸回転の制約を考慮した変位制約を導入した構造物の水平2次元桁変位領域の評価を行う変位ベース設計法の提案と基礎的検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「入力地震動の2方向性」、「免制震橋梁の2方向応答特性」の双方を総合的に検討することを目標としており、いずれについてもその基本的な導入は順調に進んでいる。それらの成果を設計手法として取り入れる方法論の枠組みの基本的な検討を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
「入力地震動の2方向性」、「免制震橋梁の2方向応答特性」、「2方向地震入力を基準とした設計」の3つの方向について、それぞれ実験的な検証を視野に入れて検討を進め、その実施を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予定していた検証のための実験の準備を、解析的検証結果の確認を待つこととしてその経費執行を次年度以降に合わせて行うこととしたため。 予定していた検証実験の準備作業および実験用計測装置の導入を、平成26年度に合わせて行う用途に充てる。
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