研究課題/領域番号 |
25289144
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
中井 照夫 中部大学, 工学部, 教授 (00110263)
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研究分担者 |
ホサイン モハマド・シャヒン 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00516495)
檜尾 正也 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00335093)
鈴木 誠 清水建設株式会社, 技術研究所, 副所長 (90416818)
森河 由紀弘 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20710239)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 土の構成モデル / 有限要素解析 / モデル実験 / トンネル掘削問題 / 山留め掘削問題 / 支持力問題 / 補強土問題 / 実務設計 |
研究概要 |
地盤の諸問題は、実務設計は基本的に1948年に出版されたTerzaghi & Peck教科書に代表される土質力学の域を出ていない。そこでは、地盤の変形と破壊は別物として扱われ、同じ地盤であっても解くべき問題によって異なる方法で解析されてきた。有限要素法に代表される数値解析法の発展があるにも拘わらず、このような状態にあるのは、種々の地盤材料の変形から破壊までを唯一的に表せる構成モデルがなかったことによる。本研究は、研究代表者が中心となって取り組んできた構成モデルとその応用に関する成果を実務の諸問題に適用し、解くべき問題や地盤によらず同じ考え方で解ける地盤工学の体系を創ることを目的としている。そのため、本研究は次の3つの項目から成り立っている。①一般的で実務で使いやすい構成モデルの開発、②開発している有限要素解析コード(FEMtij)の高度化、③数値解析結果のモデル実験あるいは現場計測による検証。 平成25年度は①に関しては、特に繰返し載荷時の応力・ひずみ挙動をより適量的に評価できる構成モデルへの拡張を行った。その結果、排水条件下で土が繰返し載荷を受けたときのひずみの定常化が表現可能となった。②に関しては静的問題に対して開発してきたプログラムを動的問題にも適用できる解析コードに拡張した。特に、本研究グループで開発している構成モデルは一般的な3次元応力化の土の挙動を唯一的な材料パラメーターで説明できるので地震波のように任意の方向に応力が変化する場合でも定量的な評価が可能である。③に関しては2次元アルミ棒積層体を用いたトンネルや補強土地盤の地震時特性に関する実験を行い、数値解析結果と比較検討した。その他、これから都市部で特に問題となってくる大深度地下の掘削時の周りの構造物への影響を含めた環境問題についても、数値解析およびモデル実験を通して起こりうる地盤の挙動や検討項目を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね計画書通りに進行している。
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今後の研究の推進方策 |
25年度に引き続き、①では構成式の発展を継続的に行う。これまでに、砂から粘土まで、一番緩い正規圧密土から過圧密・自然体積土までを同一の考え方で説明できる構成モデルを開発してきたが、特に地震時の地盤の液状化で問題となるサイクリックモビリティーを含む砂質土の非排水繰返し挙動も定量的に説明できるモデルに拡張する。また、正規圧密土から自然体積土までの時間効果特性についても、モデルの精度を種々の要素試験結果で検証する。不飽和土に関してもその水分特性曲線の簡単且つ合理的な定式化を行うとともに、現在の構成モデルに取り入れることを試みる。②では土・水連成解析までが可能である現有のコードに①で開発した不飽和土の特性も考慮できる解析コードに拡張する。また、動的解析に関しても上述の非排水繰返し挙動も定量的に説明できるモデルを導入し、一般的な3次元応力状態の静的問題から土・水連成の動的問題である液状化挙動までを一貫した考え方で解析できるコードとする。③に関しては、これまでに地盤工学の種々の問題(トンネル掘削問題、擁壁土圧問題、開削問題、基礎の支持力問題、補強土問題など)のモデル実験を行い、それらのメカニズムを明らかにするとともに数値解析結果の検証を行ってきた。そして、現有のプログラムで地盤の諸問題を統一的な方法で解析できることを確かめている。本年度からは、特に現場計測結果の収集を積極的に実施し現場レベルでの解析コードの検証を行う。 昨年度も実施してきたが、実務の技術者を集めた研究会を定期的に実施し本研究で得られた成果の実務への積極的な適用をはかる。
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次年度の研究費の使用計画 |
25年度に行う予定のモデル実験(特に遠心力載荷実験)を次年度に回したため物品費と人件費が当初予定額を下回った。 上記モデル実験を26, 27年度行う予定である。そのため、26年度は物品費の予算を多くした。また、26年度も国内外での研究成果発表および現場データの収集を積極的に行うため25年度の実績を踏まえて旅費予算およびその他を多くした。
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