研究課題/領域番号 |
25289145
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
乾 徹 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (90324706)
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研究分担者 |
勝見 武 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (60233764)
高井 敦史 京都大学, 地球環境学堂, 助教 (30598347)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 再生資材 / 地盤材料 / 有害物質 / スケール効果 / 構造効果 / エイジング効果 |
研究概要 |
平成25年度は主に以下の2つの項目について研究を実施した。 (1) 構造効果が再生資材の強度変形特性に及ぼす影響の評価 構造効果やスケール効果が大きいと想定される混合廃棄物埋立地盤、および自硬性を有する焼却灰等の複数の再生地盤材料を対象として、供試体作成方法や供試体の起源が強度変形特性に及ぼす影響を圧密排水三軸圧縮試験等を実施することにより検証した。具体的には,模擬廃棄物埋立地盤材料を対象に,強度変形特性の異方性,廃棄物の形状や寸法が強度変形特性に及ぼす影響を評価し,廃棄物による補強効果が廃棄物の形状や拘束圧に依存することを示すとともに,補強効果が発現するメカニズムについて考察を行った。さらには,東日本大震災で発生した災害廃棄物の処理過程で得られた焼却灰による埋立地盤を対象として,焼却方法や廃棄物の組成が地盤の強度変形特性に及ぼす影響とそのメカニズムを明らかにした。 (2) スケール効果とエイジング効果が再生資材の溶出源評価に及ぼす影響の解明 再生資材からの有害物質の溶出について,有害物質の緩衝層として機能する底部地盤層ににおける有害物質の挙動に及ぼすスケール効果とエイジング効果を評価するための基礎的データをバッチ溶出試験により収集した。具体的には,自然由来重金属やセシウムを対象として,共存するイオンが吸着・脱着特性に有意に影響を及ぼすことを確認した。これらの結果に基づいて,平成26年度以降に実施する実スケールでの適用を想定したカラム試験の実験条件等について検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度に計画していた2つのサブテーマについては,進捗状況は以下の通りである。 サブテーマ「(1) 構造効果が再生資材の強度変形特性に及ぼす影響の評価」については,当初はスケール効果が強度変形特性に及ぼす影響を中心に評価することを予定していたが,よりミクロな構造効果が及ぼす影響がスケール効果の評価にあたっては重要であり,研究の方針に若干の変更が発生したが,当初の研究目的を達成する上で十分な成果が得られている。 サブテーマ「(2) スケール効果とエイジング効果が再生資材の溶出源評価に及ぼす影響の解明」については,適切な溶出源評価を実施する上で重要となる共存イオンが溶出特性に及ぼす影響について現在検証を行っており,当初予定していた進捗と比較すると8割程度である。しかしながら,共存イオンが及ぼす影響を系統立てて説明することは評価試験方法の立案にあたっては非常に重要であり,当初想定していなかった研究成果も得られている。 以上の個別のサブテーマの進捗状況を勘案するとおおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は,平成25年度に実施した2つのサブテーマを継続して実施する予定である。サブテーマ「(1) 構造効果が再生資材の強度変形特性に及ぼす影響の評価」については概ね当初の予定通りに進捗していることから,複数の供試体スケールで圧密三軸圧縮試験を実施し、スケール効果やエイジング効果が強度変形特性に及ぼす影響とメカニズムを明らかにする。サブテーマ「(2) スケール効果とエイジング効果が再生資材の溶出源評価に及ぼす影響の解明」については,再生資材中の共存イオンが溶出源評価に及ぼす影響を適切に評価しうるため,主要な共存イオンの影響に着目した実験条件の再設定を行うとともに,共存イオンのモニタリングも併せて実施し,提案する試験方法において共存イオンの影響を適切に評価しうるかの判断を実施する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初計画では,サブテーマ「(2) スケール効果とエイジング効果が再生資材の溶出源評価に及ぼす影響の解明」における溶出源評価手法確立のための一連の実験における有害物質の微量分析(分析装置の導入,実験実施)に使用する予定であったが,再生資材中の共存イオンが溶出特性に及ぼす基礎的評価を中心に研究を行ったために,平成25年度に予定していた実験の実施に至らず,その結果使用額に変更が生じた。 平成26年度においては,当初の計画通り溶出源評価手法確立のための微量分析実験を実施する計画であることから,分析機器の導入と実験の実施に平成26年度分として請求した研究費と併せて使用する計画である。
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