研究課題/領域番号 |
25289151
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
梅田 信 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10447138)
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研究分担者 |
中川 書子 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (70360899)
藤林 恵 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70552397)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 水工水理学 / 水資源 |
研究実績の概要 |
我が国の主要な水道水源となっているダム貯水池などの閉鎖性水域の水質管理においては,藻類が起因して生じる問題の解決が,大きな課題となっている。特に夏期の水温上昇期においては,植物プランクトンの増殖によりアオコや異臭味などの問題が生じやすい。このような藻類増殖の要因として,藻類の生活環が関与している可能性が,近年指摘されている。夏期に水中でプランクとして増殖した藻類の一部は湖底に沈降し,そこで翌春まで越冬をし,再浮遊,再増殖をするものである。本研究では,このようなプロセスを考慮した,貯水池における季節的な藻類の消長について検討を行い,水質改善対策へと結びつけることである。また,現地観測において脂肪酸や安定同位体といった生物化学的な指標を用いて,水環境の観測手法を構築することも目的の一つとしている。今年度は,初年度から継続して三春ダムにおける植物プランクトンの現存量調査を行い,その結果について解析を行った。現存量調査については,水中から沈降して底質中に存在する藻類の分析方法の改良について検討を行った.水と泥とを撹拌の上,藻類を分離させる際,水に塩分等を溶解させ水の密度を調整し,藻類の浮遊条件を制御する方法などを検討した.また,三春ダム湖内において多波長蛍光光度計を用いて,季節的な植物プランクトンの現存量と深度方向分布について検討を行った.湖水の窒素炭素循環に関して,天然トレーサーである安定同位体を用いて解析を行う方法についての検討を進めた。現地データとしては,上記の三春ダムに加え,天然湖沼であるが湖内循環の解析を行うためのメリットから琵琶湖における調査結果も用いた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
藻類の湖内における季節的な挙動(沈降,回帰)について,当初想定していた観測手法によって捉えることがかなり困難であることが分かった。調査,解析手法をやや見直す必要があると考えられる。安定同位体を用いた栄養塩循環の検討に関しては概ね順調に進行していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
藻類の湖内における季節的な挙動(沈降,回帰)については,モデル解析を主体とする方向に軸を切り替えて実施することを考えている。ただし,現地観測による情報も必要であるため,藻類の培養実験を行うなどの手法を用いることも検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究費については,効率的に利用を行った結果で生じた未使用額であると考えられる。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度が本研究の最終年度であることから,遠方の研究分担者との打合せ旅費などに活用し,研究の進展ととりまとめのために活用する計画を考えている。
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