研究課題/領域番号 |
25289154
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
大石 哲 神戸大学, 都市安全研究センター, 教授 (30252521)
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研究分担者 |
小林 健一郎 神戸大学, 都市安全研究センター, 准教授 (60420402)
末次 忠司 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (60355948)
佐野 哲也 山梨大学, 医学工学総合研究部, 助教 (90533589)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 水循環 / 気象レーダー / 準天頂衛星 / 富士山流域 / 流域管理 |
研究概要 |
最先端遠隔探査手法を用いて,富士山周辺の水循環を把握し,高度な流域水管理手法の発達につなげる.洋上の浮体に設置するGPS装置と,QZSS対応GNSSによってこれまでに得られていなかった湾域および山岳域からの高解像度の水蒸気移流を測定する.また,山梨大学レーダーや国土交通省Xバンドマルチパラメータレーダーでも仰角の関係で降雨探知精度が悪い富士山と外輪山の間に超小型・超高解像度レーダーを設置することで高分解能の降雨情報を得られるようにする.それらの雨量データを入力として流出・氾濫を考慮した水文モデルを富士山周辺域に展開することによって,独特の地形特性を持つ富士山周辺の水循環を把握する.その基礎研究を通して,山岳域の複雑な降雨機構に対して水蒸気供給の立場から降雨予測を向上させ,また,降雨分布と流域界の位置関係による水文特性の変化および不確実性について考察することで複数流域界での流量の定量的予測を実現し,高度な流域水管理手法の発達につなげる. 平成25年度には機材の調達・設置と収録システムの作成,既存データの収集と解析プログラムの整理を行った. 駿河湾では駿河湾フェリーに2周波GPS受信装置を設置して観測を開始した.QZSS対応GNSS受信装置を山岳域の谷部である山梨県南巨摩郡早川町に設置した.同時にこれらの収録システムを作成した. さらに,河川の流量データおよび水位・流量曲線データを入手し,また山梨大学レーダーの過去のレーダーデータの整理を,国土交通省のXバンド偏波ドップラーレーダーの過去のデータの整理を行った. 解析プログラムについて,分布型水文モデルを用いた流出計算を行う準備として擬河道網の作成と流出計算実験を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最先端遠隔探査手法として予定していた機材のうち,調達可能なものを全て調達・設置し,データの取得も行うことができた.ただし,,超小型・超高解像度レーダーを外輪山内部に設置することができなかった.これは,機材の用意や電波免許申請などが完了していたにもかかわらず,山梨県環境科学研究所が山梨県富士山科学研究所に組織替えすることに伴う人事異動によって設置許可手続きが遅れたため,その代替案として山梨県立富士北陵高校への設置を試みたところ,他県とは違って設置許可取得に長時間を必要としたためである.これらについては,現在鋭意観測装置設置許可申請を急いでいるところであること,山梨大学レーダーを利用した降雨観測を継続して超小型・超高解像度レーダー設置後に変換可能なデータは回収している. 気象観測データの解析準備および水文データの取得・解析準備は順調に行うことができている.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,平成25年度に設置した機材の保守などと並行して,超小型・超高解像度レーダーを富士山の外輪山内部に設置する.さらに観測およびデータ収集を行いながら,平成25年度に取得されたデータの解析を行う.解析時には特に水蒸気収支による雲への変化量の計算とレーダーによる降水粒子増加量推定値の比較を行う.解析された結果から水蒸気移流を含めた降雨分布と流域界の位置関係による水文特性の変化および不確実性について考察を行い,また,流域界をまたぐ降雨からの流量の不確実性について考察する.
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次年度の研究費の使用計画 |
装置の設置に時間がかかった.まず,GNSS装置の設置がフェリー使用許可および国土交通省の出先機関の使用許可取得に時間がかかったので,平成25年12月以降になった.そのうち1つは使用許可後の天候悪化で設置ができず,平成26年3月に設置した.そのため,メンテナンスなどの費用を平成26年に持ち越した. 富士山外輪山の内側に設置する予定であった超小型・超高解像度レーダーの設置許可が遅れていて,まだ設置に至っていない.こちらについても平成26年度に設置予定である 平成26年度中に予定していたGNSS装置のメンテナンス・データ収録などを実施し,超小型・超高解像度レーダーを外輪山に設置する.
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