研究課題/領域番号 |
25289160
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
福田 大輔 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (70334539)
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研究分担者 |
朝倉 康夫 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (80144319)
岩倉 成志 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (20223373)
佐々木 邦明 山梨大学, 総合研究部, 教授 (30242837)
Schmoecker J.D. 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70467017)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 時間信頼性 / 費用便益分析 / 交通行動モデル |
研究実績の概要 |
・行動経済学の知見に基いて「通勤者は旅行時間の分布を誤認している」という基本仮説を措定し,その影響を分析した.理論分析より,確率荷重関数の形状と時間の限界効用の変化率によって通勤者が主観的に判断する最適出発時刻と客観的な最適出発時刻との乖離の程度が決定されると共に,旅行時間変動誤認の費用が生じることを明らかにした.さらに,選好表明実験を通じて得られたデータを用いて実証分析を行い,(i) 通勤者の多くが悲観的であること,(ii) 確率重み関数を適用しないことでスケジューリング選好を表すパラメータに約20%のバイアスが生じること,(iii) 旅行時間変動の確率誤認コストが全コストの約1-8%程度であることを明らかにした. ・ラッシュアワー渋滞のもとでの利用者間相互作用を考慮した旅行時間信頼性の便益評価を行うための基礎理論について検討した.古典的なボトルネックモデルを一般的な通勤者コスト関数を用いて拡張し,ボトルネック容量の確率的な変動を考慮した上で導かれる利用者均衡問題の数理的特性を分析することで,旅行時間変動の社会的限界価値を導出した.さらに,代表的な二種類のスケジュールコスト関数を想定した上で理論解析と数値解析を行い,(i) 到着時刻制約の緩い通勤者から構成される社会ではVTTV(私的価値)とSVTTVが一致すること,(ii) 逆に到着時刻制約の厳しい通勤者から構成される社会ではVTTVがSVTTVを過大評価することなどを明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ラッシュアワー渋滞のもとでの利用者間相互作用を考慮した旅行時間信頼性の便益評価については,もともと最終年度に検討することを予定していたが,それよりも早く分析を行うことができた.
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今後の研究の推進方策 |
今後は特に,以下の細目について集中的に取り組みたいと考えている. 1. 長期広範囲プローブデータモニタリングに基づく面的な時間信頼性指標の構築 2. 旅行時間信頼性の統計物理分析 3. 時刻表ベースの交通機関(バス等)を念頭に置いた利用者行動モデリング
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次年度使用額が生じた理由 |
学会出張等に想定していた旅費,ならびに,データ整理に想定してた謝金の利用が想定よりも少なかったため.
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次年度使用額の使用計画 |
最終年度ということで,学会における成果発表の数を増やす.また,大量のデータを分析するためのさらなる追加謝金に使用する.
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