研究課題/領域番号 |
25289161
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
佐々木 邦明 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (30242837)
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研究分担者 |
室町 泰徳 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (40251350)
羽藤 英二 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60304648)
山本 俊行 名古屋大学, エコトピア科学研究所, 教授 (80273465)
小根山 裕之 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 教授 (90313105)
布施 孝志 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80361525)
福田 大輔 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (70334539)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 交通需要マネジメント / データ同化 / 交通需要予測 / 交通シミュレーション |
研究概要 |
本研究の目的は,時系列的なデータ更新を前提として,モデルによる予測と観測による状態更新というデータ同化の枠組みでの交通需要予測・交通現象解析手法の構築である.本年度の進捗を確認するために,年度末に研究分担者全員による研究会を公開で開催した.そこでは以下のような成果報告がなされた. 「Origin-Destination Matrix Estimation Using Coarse-grained Mobile Phone Data」「混雑統計データを用いた流動人口予測モデルの検討」「メッシュ人口データを用いたメッシュの状態推定」「シミュレーションと観測データによる所要時間予測」「逐次データ同化による歩行者挙動の予測と観測」「プローブデータを用いた交通量の補間推定」「オンライン交通オペレーションの可能性」 上記課題はプローブカー,プローブパーソン,モバイル統計データ,画像データ等の時系列的で大量の交通関連データを前提とした交通解析であり,本研究課題の枠組みに沿った成果である.また,いずれも特定の交通課題,例えばイベント時の交通流動のマネジメントや,事故等の突発事象の検知とマネジメント,交通渋滞予測を対象にしており,いずれも実務的な問題解決を目的としている.特に混雑統計データの活用を研究計画では挙げているが,イベント時の人の流れの推計,都市圏の交通ネットワークの状態のモニタリング,パーソントリップの中間年次補正等,様々な使い方が提案されそれらの実現可能性が示された. 以上のように本研究課題の1年目の実績として,具体的な課題に対しての既存の時系列的な詳細・大量データの活用についての方向性とその実現可能性が示された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的は観測データをもとにした帰納的アプローチと,シミュレーションに代表される演繹的アプローチの融合である.先に述べた研究実績では,研究分担者全員がこの目的に沿って交通現象を解析する手法を提案している. またそのほかに交通実務への展開も最終的な成果とすることを目標としているが,先に述べたこれまでの成果は,交通渋滞,事故等の異常検知,イベント時の歩行者流の解析等,重要な交通課題の解決に向けて研究を行っている.以上の2つの目的については当初の予定通りの進捗であると評価できる.現時点では交通調査への提言がなされていないが,各分担者の研究課題はいずれも実データを用いた課題であることから,2年間の成果で十分提言を行うことが可能と考えているため,上記の評価とした.
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今後の研究の推進方策 |
本研究の推進方策として,現在の研究体制で各分担者が個別の課題を実行し,交通計画・需要予測・交通マネジメントにどのような形でデータ同化的なアプローチが貢献できるかをまとめる予定である.そのための推進方策として,半期に一度全員での研究会を行い,これまでも情報提供を行ってきた土木学会計画学研究委員会のビッグデータ活用小委員会と連携して,土木計画学研究発表会学会等において成果を公表していく.
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次年度の研究費の使用計画 |
研究計画で混雑統計データの購入費を大きくとってあり,採択当初からそのための利用交渉を行ってきた.各大学の契約書を集約して統一した購入契約が締結される直前に,データの利用の正当性等について報道がなされ,一時的にデータの利用契約の手続きが停止した.その結果,年末までデータの利用ができなくなった.そのためデータ利用契約を次年度に行うことを決めた研究者が複数おり,データの購入費の多くが次年度に回された. 本年度はモバイル統計データの購入にあたって再度契約調整を行い,昨年問題となった障害が無いように気を付けながら,場合によっては他社が提供している移動に関わるデータ等の購入を検討する.混雑統計データは,常時観測の時系列データを入手するのが目的であるため,同様の特性を持つ他社のデータに切り替えたとしても,契約の手続き等に要する時間の問題があるが,研究の遂行は可能と考えている.
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