研究課題/領域番号 |
25289162
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
薄井 智貴 名古屋大学, グリーンモビリティ連携研究センター, 講師 (20549448)
|
研究分担者 |
倉田 陽平 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 准教授 (50585528)
熊谷 潤 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (90548702)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | Bluetooth / すれちがい通信 / 距離推定 / スマートフォン |
研究概要 |
本研究は,電力消費量を最小限抑えた超低消費電力Bluetooth4.0LEを用いた相互通信技術「すれちがい通信」に着目し,本技術による歩車間通信,観光回遊行動調査,断面交通量観測など,次世代ITSに向けた新たな活用方法を提案することを最終目的としている. 今年度は,すれちがい通信実現のため,超小型低消費電力のBluetooth 発信機,および発信電波受信のためのスマートフォンアプリケーションの開発を行った.発信機は,省電力Bluetooth4.0LE のClass2 規格のもので,1Hz でBluetooth 信号を継続して送信し続けるという,既製品にはない特徴を持っている.また,開発したスマートフォンアプリケーションは,小型発信機から送信する受信電波強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator)を計測するSamsung社製GalaxyS4専用のAndroidアプリケーションで,Samsung APIを用いてBluetooth4.0LE信号を受信し,スマートフォン内部のSDカード領域に値を記録する.次に,受信電波強度による距離推定の可能性を検証するため,開発した発信機とアプリケーションを用い,学内教室と電波暗室において距離計測実験を行った.結果,RSSI計測値はWi-Fiや他の通信電波と同様の電波特性を持ち,距離に比例して減衰している傾向が伺えた.そこで,前述の計測結果のRSSI値から,距離を推定するための伝搬路距離推定モデルを構築した.本モデルは,計測結果の分布系が指数分布に近似されていることから,ワイブル分布に基づく距離推定モデルを構築し,端末間距離を3段階(白→黄色→赤)で示すスマートフォンアプリケーションを開発した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定であった,すれちがい通信手法の実現のための小型デバイスの開発およびスマートフォンアプリケーションの開発が完了しており,距離推定のための非線形回帰モデルの構築および検証も順調に進んでいる.また,観光情報提供のためのアプリケーションについても,類似研究を文献やインターネットにより調査し,必要情報や項目等についてもリサーチ済みで,現在,アプリケーション開発に取り組みつつある.また,本研究の類似研究や類似機器等についても調査が進んでおり,次年度の小型発信機大量生産に向けた技術改良についてもおおむね順調に進んでいる.
|
今後の研究の推進方策 |
今後は,大量に収集した行動観測データのデータマイニング手法と蓄積手法を開発すると同時に,観光情報提示や行動調査のためのアプリケーションの開発を行う.また,昨年度開発した機器を量産し,実際の観光地にてプレ実験を行い,人々の回遊行動や滞在時間が正確に観測できるかどうか実証実験を行う予定である.実証実験の観光地には,淡路島を想定しており,実際に来訪されている観光客に本機器を持って観光してもらうことで,回遊行動を調査する.
|
次年度の研究費の使用計画 |
本年度開発した小型Bluetooth機器が単価が非常に低価格であったことに加え,データ蓄積をローカル端末保存方式に変更したため,サーバ費用を押さえることができ,予算を繰り越すことができた. 昨年度繰り越した予算により,実証実験端末を当初予定より多く購入することができるため,より多くの被験者に小型端末を配布し,人々の回遊行動調査を試みる.アプリケーション開発費用にも予算を上乗せし,より汎用性の高いアプリケーションを開発する.
|