研究課題/領域番号 |
25289163
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
中村 英樹 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (10212101)
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研究分担者 |
井料 美帆 東京大学, 生産技術研究所, 講師 (80469858)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ラウンドアバウト / 交通容量 / 性能評価 / 平面交差 / 歩行者 |
研究実績の概要 |
(1) ラウンドアバウトにおける交差点利用者挙動・交通流追加調査を行い,分析に必要な横断歩行者による流入交通流,流出交通流のブロッキングに関するデータ収集を行った. (2) 横断歩行者によるブロッキングを考慮した流入部交通容量の計算: 利用者到着パターンとギャップアクセプタンス行動をもとに,歩行者等の存在を考慮した流入部容量計算方法を開発した.流入車両はまず(A)歩行者等の間隙をぬって横断歩道を通過し,その後(B)環道車両のギャップ選択により環道に流入することから,(A)(B)の2箇所の連続ボトルネックを通過する待ち行列モデルとして定式化した. (3) 横断歩行者による流出部・環道交通閉塞の影響分析: 横断歩行者交通量や横断歩道のセットバック位置に応じた環道交通の閉塞確率を分析し,環道が閉塞することによる他流入部への影響を確認した. (4) 幾何構造や周辺利用者の状況と利用者行動との関連性分析: 横断歩道付近での車両の停止状況や交錯危険度評価指標を用いて,幾何構造・交通量と車両等の利用者行動との関連性を分析した.これに基づき,横断歩行者に対して車両が進路を譲る率が流入部の構造によって異なることを明らかにした. (5) 横断歩行者の影響を考慮したラウンドアバウト交通容量のシミュレーション分析: 観測を行ったラウンドアバウトにおける流入ギャップ関係のパラメータ(クリティカルギャップ,最小車頭時間,フォローアップタイム)や環道走行速度のデータを用いて,4枝ラウンドアバウトにおける交通容量に関するシミュレーションモデルを作成した.これを用いて,任意の自動車・歩行者交通量の組み合わせに応じた,横断歩行者の影響を考慮した交通容量の一般式を作成した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
自転車に関する分析については,有効なサンプルを収集することができず断念せざるを得なかった.その一方で,横断歩行者の影響を考慮した流入交通容量の推定に関して,理論的モデルの定式化とシミュレーション分析の双方を行うことができ,概ね順調に推移している.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,今年度作成した理論モデルとシミュレーションモデルの双方について,幾何構造の影響や横断歩行者と車両との交錯・停止特性を考慮の上,改良を加えるとともに,実観測データを用いて検証を行う.また,横断歩行者の安全性にも関連する,車両速度が幾何構造によって受ける影響に関する分析を行う必要がある.これらの結果を踏まえ,ラウンドアバウトの適した条件について検討を行い,とりまとめる.
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次年度使用額が生じた理由 |
追加調査を実施したラウンドアバウトにおける自転車挙動のサンプル数が極めて限定されており,これに関わる調査・分析に関わる費用が予定を下回った.
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次年度使用額の使用計画 |
ラウンドアバウトの幾何構造と車両速度との関連を分析するために必要なデータを,新たに設置された焼津市などのラウンドアバウトにおいて追加調査する.次年度使用額は,これを用いた車両速度分析とシミュレーション分析に関わる費用に充当する予定である.
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