研究概要 |
平成25年度は、査読論文5編、国際学会発表6編、口頭発表8編の研究成果を発表した。前駆物質からのPFCs生成ポテンシャルを測定するための包括的分析手法の確立では、国内の5か所の下水処理場で下水試料の採水を行い、4℃冷暗所保存で前駆物質からPFCAsが生成することが示された。保存期間10日ごとの分析により保存30日までPFCAs濃度の上昇が確認された。また、ハイボリュームエアサンプラーの設置により、前駆物質FTOHsの大気への拡散をとらえた。さらに雨水のサンプリングにより雨水から数ng/LのPFCsを検出した。雨水サンプルを数日保存しPFCs濃度を分析した結果、濃度の上昇が確認された。そこで、雨水にFTOHsを添加し晴天時の光分解現象を検討した。サンプルの質量/電荷比分布をHPLC-MS/MSにて測定した結果、FTOHsの光分解によるPFCAsの生成が確認された。さらに、FTOHs濃度をより低濃度まで分析するための方法の開発を行い、GC-MS/MSにて定量下限を従来の50倍程度下げることに成功した。さらにタイ王国バンコクにおいて14の産業廃水処理場放流水、チャオプラヤ川流域においてPFCs前駆物質(3種類のFOSAs, 2種類のFOSEs, 3種類のFTCAs, 3種類のFTUCAs)および12種類のPFCsの分布調査を実施し、産業廃水からN-MeFOSEを検出した。
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