研究課題/領域番号 |
25289171
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高岡 昌輝 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (80252485)
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研究分担者 |
藤森 崇 京都大学, 地球環境学堂, 助教 (20583248)
大下 和徹 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (90346081)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | エネルギー回収 / ごみ焼却 / 有害物質制御 / ダイオキシン類 / 重金属 / 窒素酸化物 / ダスト / 水銀 |
研究実績の概要 |
エネルギー安全保障や地球温暖化防止、環境負荷低減の観点からごみ発電の重要性は増している。しかしながら現在のごみ焼却施設においては、いくつかの高効率熱回収・発電対策はダイオキシン類排出低減方策とトレードオフの関係にある。したがって、本研究では、従来からの排ガス処理システムを見直し、エネルギー回収を最大限にするとともに有害物質・ダストを制御する処理システムを開発することを目的にしている。 今年度は、ダイオキシン類の制御に関する研究としては昨年度に引き続き、再合成を抑制するための機構解明を重点的に実施し、炭素の構造に関する整理や窒素含有物に関する影響を検討した。 さらに、本システムでは比較的高温での窒素酸化物除去とダイオキシン類制御を目指すため、水銀に関してはセラミックフィルタ部分では除去することができないため、最終的な活性炭吸着層を設置することを想定している。そのため、主に、活性炭吸着層における水銀除去に関する実験を実施した。通常の市販の活性炭に対して、140℃の排ガス温度を想定して実験するとともに、塩化物と硫化物を含浸させた活性炭を作成し、金属水銀の吸着性能を調べた。次に、生じている反応機構を固相側の水銀、硫黄、塩素の化学形態変化をX線吸収端微細構造により明らかにした。塩化物と硫化物の両方を含浸させた活性炭は何も含浸担持しない活性炭に比べて200倍以上の極めて高い水銀吸着性能を示した。活性炭に固定された水銀種は主に硫化水銀、硫酸水銀、塩化第一水銀と推定された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの実態調査、実験室内試験を合わせて、一通り排ガス中の懸念物質(ターゲット物質:ダイオキシン類、ダスト、重金属、水銀、窒素酸化物)の本システムでの基本的な除去性能が確認された。さらに、ダイオキシン類の制御や水銀の制御については、その制御機構のより詳細な解明や新しい除去材料の開発などを実施しており、当初に予定していた以上の成果を得ている。逆に、一部、実験室内試験等で検討が不足している部分も残っているが、概ね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、ダイオキシン類及び水銀についてはこれまでどおり、より詳細な制御の機構を解明する実験を実験室規模で継続する。全体システムとしては、これまで開発してきた要素技術をパイロット試験あるいは実機での条件調整で確認することを目指す。これには、関連企業及び自治体の協力を得て実施する。さらに、本フローは排ガス処理部分での蒸気消費がなくエネルギー回収の側面からは発電効率の上昇が期待できる。このことから、低温熱回収技術を適用した場合の熱回収量および発電量を試算し、エネルギー回収側面からの定量的評価を実施する。また、今年度も研究員を雇用して推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当研究を進めるため、研究員を雇用したが、途中で研究員の仕事の性質から科研費から他経費に変更したこと及び次年度の研究員の科研費の雇用を計画したため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度はこの金額を使用して、研究員を雇用し、特に、低温熱回収技術を適用した場合の熱回収量および発電量に関する推定研究を実施する。
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