研究課題/領域番号 |
25289181
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
時松 孝次 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (50134846)
|
研究分担者 |
田村 修次 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (40313837)
鈴木 比呂子 千葉工業大学, 工学部, 准教授 (60401527)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 液状化 / 戸建て住宅 / 対策 / 修復 / 傾斜 |
研究実績の概要 |
直接基礎建物、杭基礎建物の被害調査と遠心実験結果に基づいて、被害要因の究明を継続した。建物・地盤・地震動特性が液状化による直接基礎建物の沈下に与える影響については、遠心載荷実験より、(1)建物の接地圧が大きいほど、基礎幅が大きいほど、また、地下水位が高いほど、表層の非液状化層厚が小さいほど、液状化による地盤沈下量が大きいほど、液状化による建物の絶対沈下量・相対沈下量・傾斜角は大きくなり、建物の荷重偏心率が大きいほど、液状化による建物の傾斜角は大きくなること。(2)表層の非液状化層のせん断力が建物の鉛直荷重と転倒モーメントに抵抗すると仮定して定義した安全率と地盤沈下量により、様々な建物・地盤・地震動特性に対して、液状化による建物の絶対沈下・相対沈下・傾斜をある程度の精度で評価できる可能性を示した。また地盤の液状化を伴う摩擦杭基礎建物の支持力機構と沈下挙動の関係については、被害事例の分析と遠心模型実験にもとづいて、(1)液状化による有効応力の減少に伴う杭の先端支持力と周面摩擦力の減少を考慮することで液状化時の杭の支持力を推定できる可能性のあること。(2)摩擦杭基礎の沈下挙動は3種類に分類され、液状化時に建物荷重を先端で支持できる場合は抜け上がり、周面摩擦力により支持できる場合は共下がり、支持出来ない場合はめり込み沈下を生じることを示した。さらに、拡底杭、パイプドレーン、連結基礎など用いた簡便な液状化対策の可能性を室内試験、遠心載荷実験により検討した。その結果、ドレーンパイプを基礎端部に用いることで、傾斜角を大幅に低減できること、基礎の連結により戸建て住宅の傾斜は無対策のそれの1/6~1/4程度まで軽減できる可能性を示した。以上の成果を含めて、戸建て住宅の液状化被害予測・対策・修復についてまとめた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的に上げた5課題ごとの達成度は以下の通りである。 課題(1)「地震時の液状化が直接建物の被害に与える影響の定量的評価」達成度90%. 課題(2)「地震時の液状化が杭基礎建物被害に与える影響の定量的評価」達成度90%. 課題(3)「表層地盤改良による戸建て住宅の簡便な液状化対策法の開発」達成度80%. 課題(4)「摩擦杭・ドレーンパイプ等による戸建て住宅の簡便な液状化対策法の開発」達成度70%. 課題(5)「戸建て住宅の液状化被害予測・対策・修復を含む建物基礎の耐震設計法の提案」達成度80%. 以上より5課題の平均達成度は80%程度で、概ね順調と判断する。
|
今後の研究の推進方策 |
研究は概ね順調に進展しており、今後も当初の計画通り研究を遂行する。なお、課題(4)については、確定摩擦杭、摩擦杭、ドレーンパイプ、連結基礎など、より広範囲の対策を含めて検討した結果、摩擦杭、ドレーンパイプの効果と実用性が高いことから、最終年度は焦点を絞って検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度の計画にそって研究を遂行したところ、全体の支出が予定より安価で済み、61,828円の残が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度、研究遂行のため有効に使用予定。
|