研究課題
直接基礎建物、杭基礎建物の被害調査と遠心実験結果に基づいて、被害要因の究明を継続した。建物・地盤・地震動特性が液状化による直接基礎建物の被害に与える影響については、過去の地震被害調査の検討より、建物階数あるいは接地圧並びに建物のアスペクト比が大きいほど、無次元沈下量と傾斜角が大きくなる傾向のあることを示した。また、遠心載荷実験より、建物の接地圧が大きいほど、基礎幅が大きいほど、また地下水位が高いほど、表層の非液状化層厚が小さいほど、液状化による地盤沈下量が大きいほど、建物の被害程度(絶対沈下量、相対沈下量、傾斜角)が大きくなり、建物の荷重偏心率が大きいほど、建物の傾斜角が大きくなることを示し、また地盤の液状化が杭基礎建物の被害に与える影響については、同一地盤に建設中の3種類の被害無被害事例の分析に基づいて、被害無被害を分けた要因が杭頭固定度、杭の変形性能と耐力によるものであることを定量的に示した。また室内遠心震動実験から、摩擦杭基礎の沈下挙動は3種類に分類され、液状化時に建物荷重を先端で支持できる場合は抜け上がり、周面摩擦力により支持できる場合は共下がり、支持出来ない場合はめり込み沈下を生じることを示した。さらに、拡底杭、パイプドレーンなど用いた簡便な液状化対策の可能性を室内試験、遠心載荷実験により検討した。その結果、ドレーンパイプを基礎端部に用いることで、傾斜角を大幅に低減できる可能性を示した。以上の成果に基づき、表層の非液状化層のせん断力が建物の鉛直荷重と転倒モーメントに抵抗すると仮定して安全率を定義し、これに基づけば、様々な建物・地盤・地震動条件のもとで、液状化による建物の被害程度をある程度の精度で評価できる可能性を示した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Canadian Geotechnical Journal
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http://doi.org/10.1139/cgj-2016-0162
Soil Dynamics and Earthquake Engineering
巻: 91 ページ: 317-328
http://doi.org/10.1016/j.soildyn.2016.07.009