研究課題/領域番号 |
25289193
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐久間 哲哉 東京大学, 新領域創成科学研究科, 准教授 (80282995)
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研究分担者 |
安田 洋介 神奈川大学, 工学部, 准教授 (90456187)
大嶋 拓也 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (40332647)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 音・振動環境 / 音響計測 / 数値解析 |
研究概要 |
本研究では、音響数値解析技術を活用し、現実の測定環境を計算機上で模擬した「数値音響試験室」において、建築部材の遮音・吸音・拡散性能の予測法を体系的に構築することを目指している。初年度は、年4回の定期会合で研究成果の情報交換・議論を行いながら、第1フェーズの数値音響試験室のモデル化について、各ユニットで以下の課題群に取り組んだ。 課題1a:(共同)現実的な残響室・無響室および理想的な自由音場・半自由音場・完全拡散音場について、有限要素法・境界要素法・時間領域有限差分法に応じたモデル化を計算負荷・近似精度・簡便性などの面から検討し、「数値音響試験室」としての類型・仕様を確定した。 課題1b:(東大)残響室における試験体への音響エネルギーの入射方向分布を解明すべく、試験体近傍の多点音圧計測に基づく入射方向推定手法を理論的に検討し、次年度の検証実験を計画した。 課題1c:(分担)課題1aの音響試験室のモデル化の検討を受けて、東大ユニットでは有限要素法・境界要素法を用いた理想音場の模擬、神奈川大ユニットでは高速多重極境界要素法を用いた無響室の模擬、新潟大では時間領域有限差分法を用いた残響室の模擬を分担し、数値試験室解析用の形状データ生成・コード開発を進めた。東大ユニットでは、遮音性能解析における試料の周辺支持および設置条件のモデル化に成功した他、積層材料の吸音・遮音性能解析を試行し、理論および実測との比較により予測精度が検証された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は、第1フェーズの数値音響試験室のモデル化に関する3つの課題に取り組み、課題1aの音響試験室のモデル化手法の整理は完了した。課題1bの実大残響室の音響特性に関する実験的検証については、新たな計測方法の理論的な検討に留まり、実験の実施には至らなかったが、次年度の実験計画の詳細は定まった。一方、課題1cの数値試験室の音響特性に関する数値的検証では大幅な進展が見られ、次年度以降に予定されていた建築部材と音響試験室の連成モデル化が一部達成された。研究成果は既に9編の学会発表論文として公表され、今年度は学術誌の査読付きとして投稿予定である。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に第1フェーズで取り残しがあった課題1bの実大残響室の音響特性に関する実験的検証については、次年度東大ユニットに研究協力者を1名増員して、検証実験に集中的に取り組むこととする。第二年度、第三年度では、第2フェーズの建築部材音響性能の数値予測システム構築に関する3つの課題として、課題2a:建築部材と音響試験室の連成モデル化手法の整理、課題2b:遮音・吸音・拡散性能予測システムの構築、課題2c:各種音響性能予測システムの妥当性検証、を予定している。特に、第二年度は既に先行して取り組んでいる課題2aおよび2bの早期完了を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初初年度後半に購入を予定していた音響インピーダンス管キットについては、初年度の研究方針を変更して数値シミュレーション課題に集中させることとなり、次年度に購入を延期した。初予定していた研究員の雇用についても、その機器を用いた実験課題の延期に伴い、次年度からの雇用に変更した。また、国際会議参加への旅費については、別途支給を受けたため、支出が不要となった。 上記の通り、初年度に延期した機器の購入と研究員の雇用を次年度前半に行い、音響実験課題を集中的に進める。
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