研究実績の概要 |
応募の際の計画では、中国・イスラームの境界地域に焦点を当てる予定であったが、当初予定した新疆ウィグル地区などについては調査環境が整わないと考え、26年度計画では、西安、開封などの回民地区に関する調査をまとめること、また、北京について「城中村」を調査すること、さらに、遊牧国家の定着過程に着目することとしたが、ほぼ予定通りに行うことができた。 まず、北京に絞る形の中国都城の歴史について、瀋陽、そして内蒙古の元中都および元上都、さらにモンゴルのハラホリン(カラコルム)の調査を行い、予定通り、『大元都市-中国都城の理念と空間構造-』(京都大学学術出版会,2015年2月)を上梓することができた。一応、『曼荼羅都市―ヒンドゥー都市の空間理念とその変容―』,『ムガル都市--イスラーム都市の空間変容』と合わせて、アジアの前近代都市について3部作が完結したことになる。 また、臨地調査は、北京の新大倉地区を対象として行った。 最終的に目標とする『ショップハウスの世界史』については別途作業を進めた。アジア各都市の街区組織と都市住宅の類型化については、前近代については,上述のように,大きくイスラーム都市の系譜と中国・インド都城の系譜に分けることができるが,街区組織と都市住宅の類型について,もう少し細かな検討が必要である。「店屋」の類型とその分布図の作製については東南アジアについて、特にタイについて作業を進めた。先行して中国全土について,「四合院」と「店屋」の類型と分布をほぼまとめた。
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